〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第19章 桃色微熱 -戯れと煽る蜜- ❀豊臣秀吉❀
「大丈夫、少し疲れてるだけだ」
「きちんとお休みは取って下さいね。忙しいのは解りますが」
「三成に心配されるようじゃおしまいだな。でも、ありがとな」
疲れているのは、正直どうでもいい。
美依に会いたい。
会えば、疲れなんて吹っ飛んでしまう。
美依に会って、柔らかい身体を抱き締めて。
ごめんと言って口づけたい。
(……まぁ、今日も会えないけどな)
それを思うと、一気に脱力感が襲った。
だが、我慢だ。
人生、上手くいく時ばかりではない。
こういう試練だってあるのだから。
無理矢理自分に言い聞かせ、ため息を付くと…
何かを察したように、三成が柔らかい笑みを浮かべた。
「やはり少し休んできたらいかがでしょう」
「え?」
「身体が熱持つほどお疲れなのは良くないですよ。半刻…四半刻眠るだけでも違いますから。それに、秀吉様が無理なさると、美依様が心配されます」
「うん…まぁな」
「折角なら美依様のお部屋で休まれたらどうでしょう、御殿に戻る手間が省けますし」
喧嘩した事を知らない三成が、頼もしく言葉を続ける。
ここまで言ってくれるのだから、少し休んだ方がいいのかもしれない。
本当に具合が悪いのかと心配してくれている。
それを無下にはしたくないと思った。
……美依の部屋でと言う話は予想外だったが。
「……美依の部屋で、休んでくるかな」
「はい、後はお任せ下さい!」
「悪いな、三成」
(俺は優しくて、頼りになる部下を持ったな)
本当だったら上司が率先してやらねばいけないのに、三成は聡く、色々察して動いてくれる。
その気持ちを無駄にしないように、さっさと休んで回復してこよう。
それに、仲直りするいい機会になるかもしれない。
そう思って、部屋を借りに向かった。
しかし……
美依の部屋には『落とし穴』がある。
美依の事で我慢していた俺は、その『落とし穴』にまんまとハマる訳なんだが。
喧嘩をし、美依に触れられない日が十日も過ぎている時点で、色々気がつけば良かったのだ。
そうすれば…
馬鹿みたいに爆発する事もなかったのに。
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