〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第18章 桃色酔宴 -戯れと蜜の春- ❀伊達政宗❀
「そういう理由なら仕方ねぇだろ、お前は今夜は帰ってゆっくり休めよ?」
「ごめんね、政宗……」
「謝るな、謝る事じゃない。むしろそれが無きゃ困るだろ、お前は将来俺の子を産むんだからな」
優しく頭を撫でると、美依は少し照れたように目元を染め……
そして、また恥ずかしそうにこっくり頷いた。
(あー、可愛い。すぐにでも色々したくなる)
またいつものように、みっともなく煽られる。
美依のふとした仕草が、可愛くて可愛くて……
馬鹿みたいに溺れてるな、と思う。
しかし、今回は手を出してはいけない理由がある。
そこは我慢しなくては……と余裕があるフリをして、ニヤリと笑った。
「体調悪いようなら、宴も無理するなよ?片付けもしなくていい、その時期の女は身体が怠いって聞くしな」
「あはは、ありがとう、政宗は優しいね」
羊の皮を被って、野獣を隠してるだけなんだけどな。
そんな事をふっと思って……
苦笑いしながら、何度も美依の頭を優しく撫でた。
────…………
「おい、秀吉。俺にもそれ注げ」
「は?政宗、お前これ、酒だぞ?」
「いいんだよ、俺だってたまには飲みたい時もある」
「珍しいこともあるもんだな……」
秀吉がこちらの酒杯に、怪訝な顔をして酒を注ぐ。
それを見ながら、俺は祝宴場を見渡し、ふっと息を吐いた。
夜に行われた宴は、賑やかに執り行われた。
と、言っても。
城での宴のように、家臣やら地方の大名やらを招いた訳ではない。
信長様、秀吉、光秀、家康、三成。
大将と、安土に集まる武将達。
それから美依の、七人だけだ。
「美依、ほらこっちも食え」
「わ、光秀さん、ありがとうございます」
「美依、口に入れすぎ、ちゃんと噛みなよ?」
(……あんまり美依に触るんじゃねぇ)
視線を移せば、少し離れた場所で。
美依が光秀と家康に囲まれ、可愛い笑い声を上げている。
美依は安土の武将達に可愛がられているから。
別にそんな光景を見たって嫉妬する訳では無いが……
それでも、さっきから気持ちが落ち着かない。
その理由を頭では理解していた。