〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第17章 櫻花に夢見し君想ふ ❀織田信長❀
「ああ、これからも頑張って咲いてくれ、俺の為に」
その笑みが堪らず、美依を引き寄せ腕に抱く。
温かな身体、温もりを忘れかけた俺に……
それを思い出させる、小さく大きな存在。
かけがえの無いものを教えてくれたのは美依だった。
だから……もう離せはしない。
離してしまったら、冷えて動けなくなってしまう。
美依が解らないと言う事は、全て教えてやろう。
解り合うた為に、一つになって生きるために。
まだまだ俺達は、寄り添っていける。
「美依、愛しているぞ」
「私もです、私の方が愛してますよ」
「何を言う、俺の方が貴様を愛しているぞ」
「ふふっ、ありがとうございます」
そう言葉を交わしながら、重ねた唇は。
蕩けそうな程甘く、そして、幸福そのものの味がした。
美依が居れば、どんな世でも生きていける。
温もりを分け合い、お互い足りない物を埋めながら。
そうして、今年も手を繋ぎ歩いていく。
(貴様は…俺を導く道標だ。小さくも温かな、光だ)
光を決して見失うまい。
美依への愛を知った今なら解る。
永遠に繋がる物語もあるのだと言う事を──……
────…………
その後、拝殿で参拝を済ませ。
御札や御守などが売られている場所に神籤あったので、美依と一緒に引きに行く。
この様なもので己の吉凶を占うのは、らしくないと言えばらしくないが……
それでも、一年の初めに運試しをするのも悪くない。
神籤箱を振り、出てきた棒の先に書いてある番号と同じ籤を受付から受け取る。
美依と顔を見合わせ、笑い合い……
そして、共に心を浮つかせながら、籤を開いた。
「ふむ、大吉か。当然だな」
「あっ……」
「どうした?」
「そ、そんなぁ……!」
美依が籤を開き、くしゃっと顔を歪める。
思わず手元を覗くと……
美依の手に握られている、その籤に。
はっきりと『凶』と書かれてあった。