〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第16章 SEKIRARA ー秘密の言葉はお前の為にー❀明智光秀❀
「悪かったな、美依」
「光秀さん…」
「お前を変に疑ってかかって……あんな顔をさせたかった訳では無いんだ」
「いえ、私の方こそ…」
美依がしゅんとなって小さくなる。
そして、申し訳なさそうに、ぽつりぽつりと言葉を紡いだ。
「変に私が隠したりしたから…光秀さんが疑って、当然ですよね。ごめんなさい」
「美依……」
「光秀さん、毎年お誕生日にお祝いしても、あんまり嬉しそうにしないから…だから心から笑顔になってもらいたかったんです。それが裏目に出たんだけど、ううっ……」
鈴を胸にきゅっと抱き、項垂れる美依。
本当に馬鹿みたいに素直で、隠し事が下手で。
(……これだから、目を離せなくなる)
「わっ……!」
美依の腰を掴み、ふわりと抱き上げると。
美依は可愛い悲鳴を上げて、肩を掴んだ。
小さく華奢な身体。
それでも、美依はこんなに温かい。
────二度と、離せないと思う程に
「美依は軽いな、羽根が生えているのか?」
「光秀さ……」
「お前が俺の誕生日を祝いたいと言うなら、俺はお前からどうしても欲しい物が…一つある」
「……それは、なんですか?」
「当てられたら、ご褒美をやるぞ?」
「うっ…教える気無いですよね、それ」
「俺の誕生日の夜まで時間をやる、それまでじっくり考えろ。とりあえず今は……その唇を貰おうか」
そのまま引き寄せ、奪った唇は。
泣きたくなるほど甘く、そして。
幸せそのものの味がした。
こんな真っ当な幸せを、この手にしていいものかと。
それなりに悩んだ事もある。
その時から比べると、俺はだいぶ欲張りになったらしい。
美依が欲しい。
その先の幸せも、一緒に見る未来も。
でもそれは、手を伸ばせば、全て叶う場所にあるのだ。
生きていける。
美依と、愛しい我が子が傍に居たなら。
ずっと、死ぬ程の幸福に満たされる
決して離すまい。
手にした温もりを、この手から。
愛しさも、何もかも抱き締めて。
そして築き上げる道標を。
お前が照らし続けてくれるなら。
俺は光の下を、歩いていける。
────…………