〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第16章 SEKIRARA ー秘密の言葉はお前の為にー❀明智光秀❀
「政宗…美依は、秘密の約束とは……」
「だってお前に知られたら、お前驚かないだろ?」
「だからと言って……」
「お前を喜ばそうと、馬鹿みたいに隠してたんだよ、美依は」
「……っっ」
────大切な、大切すぎる家族
美依と愛し合い。
そして、必然的に生まれた小さな命。
愛しくて、愛しくて。
かけがえのない二人は俺の宝だ。
そして、何者にも変えられない、光だ。
そんな二人が、生まれた事を祝ってくれている。
馬鹿みたいに、必死に。
こんな、こんな事は。
幸せとは、こんなに息苦しいものなのか?
息も出来ないほどに、胸が熱い。
愛しさが溢れ、身体中に広がって。
こんな風に、泣きたくなるなんて──……
「なんだ光秀、泣いてんのか?」
「……帰る」
「え?」
「俺は何も見ていない、見ていないぞ」
「お前な……今更遅い。ついでに仲直りもしてこい、おーい美依!」
政宗がまた肩を抱いて、ぐいっと木陰から引きずり出したので、慌てて熱くなった目頭を押さえる。
すると、政宗の声に気がついた三人は、一斉にこちらを振り向き……
そして、びっくりしたような表情を浮かべた。
「光秀、さん……!?」
「あ…光秀っ……!これはだな、ええと」
「父様〜っ!今ね、花月達、父様のお誕生会でやる……んむぅ!」
「花月、言っちゃダメ!」
「ああもう、無駄だ、美依……」
必死に花月の口を塞ぐ美依。
がっくり項垂れる秀吉に、嬉しそうな花月。
そんな様子を見ていたら、なんだか可笑しくなって。
涙なんか、引っ込んでしまった。
(ああ、本当に俺の家族は……)
馬鹿みたいに素直で、そして。
愚かなほどに愛らしい。
手放すなんて、絶対に無理だと悟った。
この愛らしい家族を力の限り守っていこう。
そう、最認識させ、また。
『一つの考え』が頭に浮かぶ。
それを伝えるのは、次に美依を愛でた時だな。
そう思って、口元が緩んだ。
「美依、少しいいか」
美依にそう言うと、政宗や秀吉は気を利かせて、わざわざ二人きりにしてくれた。
そして詫びる。
疑って…泣かせた詫びを。