〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第16章 SEKIRARA ー秘密の言葉はお前の為にー❀明智光秀❀
「政宗、お前は何か知っているのか」
「ああ、全部知ってる」
「なら、今すぐ話せ」
「直接見た方が早い、さっさと来い」
ぐいぐいと強引に引きずられ御殿へ入ると。
部屋には入らず、そのまま庭へと回った。
そして、木陰に隠れるようにして、御殿の中を伺う。
なんでこんな事をせねばならないのかと思っても、政宗が『見てみろ』と中を指差すので。
そちらに渋々視線を向けた。
すると、そこには美依と花月と秀吉が居て。
何やらわちゃわちゃしながら言い合っている様子が解った。
「いいか、俺が『トントトン』で、お前が『シャンシャンシャン』と三回」
「トントトンでシャンシャン……」
「二回じゃなくて三回な、間違うなよ?」
「母様、おなかぺっこぺこー」
「もうすぐ政宗が来るから、もう少し頑張ろう?」
「はぁーい」
「よし、頭からやってみるか、花月の台詞からな」
(……何をやっているんだ、三人は)
固唾を飲んで、三人の不可思議な行動を見守る。
すると、花月が部屋の真ん中に立ち。
それを囲うように、美依と秀吉が座る。
そして、花月が目いっぱい息を吸い込むと……
可愛らしい、よく通る声で叫んだ。
「父様、お誕生日おめでとうございます!!」
(え……?)
トントトン、シャンシャン…トトトンシャンシャン……
秀吉が叩く太鼓と、美依が鳴らす鈴に合わせて、花月が軽やかに舞い出す。
規則正しく、一拍の狂いもない太鼓。
それに、僅かばかりずれる鈴の音。
花月は足音も立てず、小さな扇子を持って器用に踊る。
今、花月はなんと言った?
父様、お誕生日おめでとうございます。
誕生日……
(まさか、これは……)
気がつけば、今年ももうすぐ十月四日。
それは……
────幾度目かの、己の誕生日
「二人はな、秀吉に頼み込んで毎日練習に通ってたんだ」
思わず言葉が出ずにいると、政宗が目を細め。
眩しい物を見るように、中を見ながら話し出す。
「光秀に誕生日を喜んでもらいたいから、二人であっと言わせる贈り物をするって。お前に見てもらいたいがために…健気だろ、美依と花月は」