〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第16章 SEKIRARA ー秘密の言葉はお前の為にー❀明智光秀❀
「光秀さん?」
「美依、正直に言え」
「え?……あ」
くんっと美依の肩を押し、近くの壁に押し付ける。
そのまま顔の横の壁に手を付き、美依を壁と腕の中に閉じ込めると……
美依は焦ったように見上げ、大きな瞳を瞬きさせた。
「何が秘密なんだ、何故言えない?秀吉の御殿で……お前達は何をしているんだ、何を隠している?」
問い詰めると、美依は不自然に目を泳がせる。
美依は嘘を付くのが苦手だ。
これは、完璧に何か隠していると解る。
思わず手を動かし、その頬に触れた。
滑らかな肌。
どこかあどけない表情も、柔らかな肢体も。
子供を生んだからといって、それは色褪せること無く、美依は女として輝いていて……
それは恋した時の美依のままだ。
「べ、別に何も隠してなんか……」
「なら言える筈だ、何をしに言っているのか、正直に言え」
「い、今は言えません」
「何故」
「なんでもです、言えないものは言えないんです」
美依は断固として言おうとしない。
それは、つまり……
「……何か、やましい事があるんだな?」
凄んで言うと、美依は目を見開きこちらを見た。
確信を掠ったか。
だが、それは腹立たしい以外、何者でもない。
やましい事。
まさか、美依は秀吉と……
「秀吉と、男女の関係でも持ったか」
「は?」
「床でも共にしたか、秀吉と」
「な、何言ってるんですか!」
「言えないようなやましい事があるんだろう?」
言い出してしまえば止まらない。
不安が、嫌な方ばかりに加速する。
美依を信じている。
誰よりも愛しているからだ。
でも、美依は違うのか。
こうして隠し事をするような……
どうして、美依はそんな事をする?
「ど、どうして、そんな事……!」
すると、美依は顔を真っ白にして。
ワナワナと唇を震わせながら、ぐっと噛んだ。
信じられないと言った表情で。
そして、次の瞬間。
大きな黒真珠の瞳から、ぼろんと雫が零れ落ちた。