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〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀

第15章 胡蝶ノ蜜夢《後編》❀家康 × 三成❀





「ただ本を届けるだけのおつかいも、まともに出来ないなんて…まさか道で倒れるとは思ってなかったよ。おかげで、身体中痛いしだるいし、おまけに信長様にご褒美で貰った香水はなくすし…とほほ」




ああ、そーゆーことになってたっけ。
家康は勝手に頷きながら、桃を剥き始める。

三成は三成でくすっと腹の解らない笑みを浮かべているし。

これが、美依には天使の笑みに見えるんだよな。
また勝手に納得し、家康は手元に視線を落とした。




「がっかりしないでください、美依様。香なんて幾らでも買えますし、なんなら今度贈りますよ」

「でもさ、南蛮からの献上品だったんだよ?家康の髪みたいな、綺麗な金色でさ。香りすら確かめられなかったー…残念だなぁ」

「落としたなら仕方ないでしょ、諦めなよ。ほら、桃でも食べて」




────美依の記憶は。

家康に書簡を届ける最中で、ぷっつり途切れていて……
行為の事は疎か、自分で香水を塗った記憶すらない。

まぁ、忘れて正解なのだろうが。

あれだけ激しく男達に犯され、自分は感じまくって啼きまくって、意識吹っ飛ばしたなんて解ったら。

美依は立ち直れないくらい落ち込むだろう。

だから、あれは『無かった』のだ。
淫らな秘め事は、あくまで秘密の淫事だから。






「邪魔するぞ」






と、その時。
部屋の襖を開けて、秀吉と光秀が入ってきた。

美依の兄貴分である立場の二人。

妹が心配なのか、美依を訪ねれば一度は部屋に顔を見せる。

家康が部屋を出ようとして、すっと立ち上がると。
三成も釣られて立ち上がり……

そしてそのまま、ニコニコとして家康に話しかけた。




「もう行きますか、家康様」

「まぁね、部屋にそんなに入らないでしょ。別にお前は居ればいいだろ、三成」

「いえ、家康様が行くなら私も行きます。美依様、続きはまた今度」

「うん、解った。二人ともお見舞いありがとう」




美依に見送られ、そのまま部屋を出る。

部屋を出る間際、秀吉と光秀が何やら懐から取り出して、美依に渡していたのを、ちらっと確認したが……

別に大した事ではないと、特に気にも止めずに、二人は美依の部屋を後にした。





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