〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第14章 胡蝶ノ蜜夢《前編》❀家康 × 三成❀
一歩。
また一歩。
声のする方に近づき。
「みつっ…ぁあぁっんっっ……!」
「…様っ……はぁっ…ぁあっ……!」
また、香りの強くなる方に。
足が勝手に赴き……
そして、赴いた先で姿を現した。
その『正体』に。
俺は思わず、痛いくらいに目を見開いた。
「あっ…も、だめぇ────…………っっ!!」
(美依──……!!)
壁に押さえつけられながら、着物を乱し。
脚を上に大きく広げられ、身体を貫かれて……
涙ながらに啼く、その女は。
美依、その女の姿に違いなかった。
しかも、その美依を犯している男は。
灰がかった髪に、紫の羽織、灰の袴。
その艶かしい後ろ姿は。
大っ嫌いな……男の姿だった。
「三成────…………!!」
思わず叫んで、反射的に二人に飛びかかり。
三成の肩を掴んで、思いっきり美依から引き離す。
こちらの姿に気がついた二人は、目を白黒させ……
美依を庇うように、腕にしっかり抱き締めると。
前に立ちはだかって三成を睨みつけた。
「何やってるんだ、お前……!」
思わず叫ぶように、三成を責める。
すると、三成は何かに取り憑かれたような曇った目をしていて。
こちらの姿を見て、ぽつりと。
やっと我に返ったように呟いた。
「家康、様…あれ……?」
「こんな事して、どうなるか解ってるのか、三成」
「あれ、私、確か美依様と……」
額に手を当て、何か考え込む三成をよそ目に。
腕の中の美依に目を向ける。
美依は胸元がはだけ、剥き出しの細い肩を、カタカタと震わせていて……
その首筋から背中に、三成が付けたと思われる赤い噛み痕がいっぱい付いていた。
「美依、大丈夫……?」
「家康…私、私……」
「なんで、こんな……」
『こんな事になったの?』
そう美依に問いただそうとした。
その瞬間。
ふわりっ……
「……っっ!!」
美依から先程の香りが、強烈に芳しく香った。