〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第14章 胡蝶ノ蜜夢《前編》❀家康 × 三成❀
(どうしたんだろう、なんか……)
頭がくらくらする。
そして、心臓がどきどきする。
まるで、心に覆っているものが剥がされ、晒されるような感覚。
美依の香りを嗅いでいると…
我慢などしていられず、触れたくなる。
「三成君…?」
「すみません、なんか私、おかしいです…」
「え?…あっ!」
────バサッ!!
そのまま首筋にかぷりと噛み付くと、美依は手に持っていた書簡を地面に落とした。
そんなのも気にせず、唇でその細い首筋に吸い付き、舌でくすぐる。
すると、美依は身体を震わせ…
少し荒く、そして甘い息を吐いた。
「んっ…はぁ…」
「美依、様…」
「三成、君っ…やめて…」
「どうしよう、私…」
「え…?」
「貴女に…どうしても、触れたい…」
気持ちのままに、美依の小さな身体を手中に抱き締める。
温かな身体、そして何とも柔らかい。
自分とはまるで違う異性の感触に、身体のど真ん中が熱くなった。
そして、芳しい香り…
それは己を惹き付け、離さなくさせる。
美依が魅力的なのは知っていた。
それでも──……
もっと違う『何か』に強く焦がれるように、惹き付けられる。
まるで、動物の本能を刺激するような。
己が『雄』である事を自覚させる…魅惑の匂い。
私は。
────美依が、欲しい
「美依様、すみません…」
「三成君…?」
「抑えられない、貴女が、欲しい…!」
「あっ…!」
刹那。
弾け飛んだ理性が、粉々になって心の奥底に沈んでいった。
────…………
「なんで俺が三成を訪ねなきゃいけないんだ」
口から思わず本音が零れ落ちる。
家康は三成の御殿に向かいながら、深々とため息を付いた。
先程、部屋で薬の調合をしていて、解らない箇所が出てきて……
それの説明の書いてある本を探した所、三成に本を貸しっぱなしだった事が判明した。
全く、人のものは借りたらすぐに返せと言う話で。
とにかくすぐに必要なので、渋々御殿に出向き、返してもらおうと……
町中を急ぎ足で歩いていた。