〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第14章 胡蝶ノ蜜夢《前編》❀家康 × 三成❀
「美依様?」
「今ね、三成君の御殿におつかいに行ったの。信長様に頼まれて」
「あれ、そうだったんですか?」
「で、信長様におつかいのご褒美みたいな感じで貰った物があって…」
そう美依が説明しだした。
次の瞬間だった。
────ふわりっ
(…あれ……?)
突然、美依から香った香りに、思わず心臓が大きく高鳴った。
びっくりして、確認するように再度息を吸い込む。
すると、また。
ふわんと美依から、香りが漂った。
甘い香り。
甘く刺激的で、そして…
煽られるような、そんな香り。
美依は一生懸命何かを説明しているが、全然頭に入ってこない。
何か、心に燻るものに火がついたような。
そんな感覚に陥った。
「…でね、いくら付けても、さっぱり香らないの」
「……」
「三成君、聞いてる?」
「…いい、匂いですね」
「え?……あ」
思わず、美依の肩を掴み、その細い首筋に顔を埋めると。
美依は身体を強張らせ、びくっと震えた。
やはり、いい香りがする。
そして、何故だか心が痺れて麻痺していく。
その甘い匂いに囚われるように。
美依に惹き付けられる自分がいた。
「三成、君っ……?」
「美依様、いい匂いがしますよ…何か香とか付けましたか?」
「三成君、説明聞いてた?信長様に貰った…」
「美依様、ちょっとこちらへ」
話半分に、美依の肩を抱き、路地裏へと入る。
美依は抵抗もせず、されるがままに大人しく付いてきて。
その人気のない路地裏の壁際に美依を連れ込むと、美依は不安そうに下から見上げてきた。
「三成君、どうしたの?」
「美依様、信長様に貰った香のせいで、こんな匂いを漂わせているんですか?」
「え、香る?」
「はい、とっても」
「私には全然解らないけど…」
「そんな筈ありません…こんなにいい匂いなのに」
美依の身体を壁に押し付け、再度首筋に顔を埋める。
そして、思いっきり息を吸い込んだ。
途端に香ってくる、甘い匂い。
それは、心も身体も痺れて、思考回路まで麻痺させる。