〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第12章 俺の恋人は藍玉の天使《後編》❀豊臣秀吉❀
────刹那
海から一陣の風が吹きすさんだ。
それは私の長い髪を揺らし、そして。
心の中まで、根こそぎ奪って行く。
(秀吉、さんっ……!)
それは、ずっと聞きたかった言葉だった。
気持ちの確証を得る言葉。
ずっと、ずっと傍にいると──……
秀吉さんに何か言いたいのに、嗚咽になって上手く言葉が出てこない。
言葉の代わりに…
瞳からは雫が溢れ、頬を伝ってポロポロと流れていく。
「こーら、泣きすぎだ」
すると、秀吉さんが立ち上がり、苦笑して大きな手で私の頬を包んだ。
そのまま唇で、涙を拭うようにそっと瞼を撫でる。
その温かい口づけは、さらに涙を誘い……
それでも私は一生懸命涙を飲み込み、そのプロポーズの答えを、頑張って口から紡いだ。
「秀吉さんの、お嫁さんに、なるっ……」
大好きな秀吉さん。
好きすぎて、死にそうなくらい……
貴方が大好きなんです。
「ずっと…ずっと、一緒に居る。絶対離れない」
「美依……」
「私は…私は、秀吉さんさえ、居てくれれば…ずっと幸せだよ。ありがとう、本当にありがとう…大好きだよ、秀吉さん」
そのまま広い胸に顔を埋める。
温かな体温、確かになる鼓動。
それは、秀吉さんがここに生きている証拠。
生まれた時間なんて関係ない。
きっと強く惹かれあったとしたなら……
それは時を駆けてでも繋がる。
一つの点と点だった私達。
こうして繋がり合い、そして。
一本の線となって、これからの道を作っていく。
「お前を愛してる、美依。お前が可愛く笑うたび…俺はお前に何度でも恋をするんだ」
「秀吉さん…」
「お前と作る未来なら、なんだって俺は愛せるよ。もう、離さない」
そのまま触れ合った唇は。
優しい優しい幸せの味がした。
溢れるほどの幸福感。
好きな人と想い合える悦び。
それは、私にとって、全ての力だ。
貴方と言う道しるべの元で。
私は、貴方に照らされ生きていく。
私が迷わないように、ずっと輝いていてね。
私だけの希望の光。
それは淡く優しく、そして熱く…
私を包み込んで、そして溶かしていった。
────…………