〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第11章 俺の恋人は藍玉の天使《前編》❀豊臣秀吉❀
「……俺も見たぞ、その夢」
「秀吉さんもですか」
「ああ。まさかこんな事になってるとは思わなかったが……美依や佐助だけじゃなく、俺もたいむすりっぷ?しちまうなんて、どうなってんだ?」
三人して頭を捻る。
タイムスリップしてしまった三人が、三人とも同じ夢を見ていて……
まさか、その夢に出てきた女神様の仕業なのか?
そんな非現実的な事まで考えてしまう。
「でも、多分また戦国時代に帰れるんじゃないかな」
すると、不安そうな私を見て、佐助君がぽつりとそう漏らした。
そして、秀吉さんを見ながら、話を続ける。
「特に秀吉さん、貴方は日本の歴史に欠かせない重要な人物だ。だから、きっと力が働いて、秀吉さんは戦国時代に戻れると思う。そうしないと、日本の歴史が変わってしまう」
「じゃあ、秀吉さんは戻れても、佐助君や私は…?」
ますます不安になって、佐助君と秀吉さんを交互に見た。
秀吉さんはきっと帰れるだろう、佐助君の説明には説得力があるし。
でも、佐助君や私は元々は戦国時代の人間じゃない。
なら、このまま現代に戻されたまま……と言う可能性だって充分にある。
(秀吉さんと、離れ離れになってしまうの……?)
言いようのない恐怖が心を覆う。
やっと出会えた、運命の恋人なのに。
昨夜も、あんなに愛し合って、絶対離れないからって約束たのに。
私は秀吉さん以外の人なんて、考えられない。
それなのに──……
思わず暗い顔で俯くと、隣に居た秀吉さんが腕を伸ばし。
私の身体を、きゅっと引き寄せた。
そして、そのまま毛布越しに、ぽふっと腕に包まれ……
秀吉さんは私をなだめるように背中を撫でながら、耳元で優しく囁いた。
「大丈夫だ、俺は離れたりしない」
「秀吉さん……」
「俺はお前と離れるなんて考えられない。だから、絶対お前をあの世界まで連れていく。俺は信長様の側で、天下統一を見守らなきゃいけない。だからここには居られないから…お前を連れていくしかない。離さないから…大丈夫だ、俺を信じろ」
その強い言葉は、じんわり心に染みる。
この人がそう言ってくれるだけで……
何故不安な道筋に、明るい光が灯ったような気がした。