〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第11章 俺の恋人は藍玉の天使《前編》❀豊臣秀吉❀
「これは俺の予感なんだけど、もしかしたらこっちに居るのは、たった一日だけかもしれない」
すると、私達の様子を見ていた佐助君が、きっぱりとした口調で言った。
私は秀吉さんの腕から一回離れ、佐助君の方に向き直る。
そして少し零れた涙を拭い、問いかけた。
「どーゆー事?」
「ほら、夢で言ってたから。忘れられない人生の一日になりますようにって」
「うん」
「一日って言い切ってるんだ。だから、例えばあの夢の仕業なら…一日ぽっきりと捉えてもいいんじゃないかと。予想だけどね」
(なるほど、確かに……)
言われてみれば、こっちに来てしまった三人が三人とも同じ夢を見ていて、それが『一日』と言っているなら。
一日きっかりで、また戻される可能性もある。
とにかく、何も確証が無い事ばかりだ。
ここで解らない事を話し合っても仕方ないのかな、とさえ思えてくる。
すると、佐助君は何やら優しく笑い。
私と秀吉さんを見ながら、ある一つの『提案』をしてくれた。
「今日一日、秀吉さんと現代ライフを楽しんでみたらどうだろう」
「え?」
「さっきカレンダーを見たんだけど、どうやら今日はこちらもクリスマスらしい。なら、せっかくなら恋人達のクリスマスって言うのを楽しんでもいいんじゃないかな」
「佐助君……」
「不安がっていても、何も解決しないなら。楽しんだ方がいいと俺は思う」
すると、秀吉さんまで私の顔を覗き込み。
とっても優しい口調で言った。
「そう言えば美依。昨日話したよな、くりすますを一緒に過ごせたら楽しい一日になるって。海に遠出に行く予定は無くなったが……」
「秀吉さん……」
「恋仲達で逢瀬したりする一日なんだろ?なら、それらしく過ごしてもいいんじゃないか?」
秀吉さんにまでそう言われ……
思わず、こちらでの逢瀬を思い描く。
一緒に映画を見たり、公園を散歩したり、喫茶店でお茶を飲んだり……
クリスマスなら、夜景が綺麗な場所へ行って、イルミネーションを見るのも良いかもしれない。
そんな『現代の恋人らしい逢瀬』
それは想像するだけで楽しそうだ。
しかも、秀吉さんと。
そんな『奇跡』みたいな時間を過ごせるなんて。
思わず心が浮き足立って、顔がにんまりにやけてしまった。