〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第11章 俺の恋人は藍玉の天使《前編》❀豊臣秀吉❀
「へ!?」
ドアを開けて、その姿を確認した途端。
私は素っ頓狂な、間抜けな声を上げた。
ドアの向こう側にいたのは。
無動作な黒髪に、黒い瞳には眼鏡を掛け。
細身の高い身長に、ジャケット姿の男の人。
それは、戦国時代でも散々世話になった『友達』だった。
「さ、佐助君っ……!」
「いきなり開けるのは不用心だな、美依さん」
「なん、で…ここに……!」
「話せば長くなるけど…やっぱり君も、現代に帰って来ていたんだね。会えて良かった」
何故現代に…と言う疑問。
それに、こみ上げる不安感が入り混じり……
若干途方に暮れかけていた矢先に、友達との再開。
その偶然に、私は思わず声も出ずに、涙がぼろんと零れたのが解った。
すると、佐助君はぽんぽんと肩を叩いてくれて。
相変わらずの淡々とした口調で言った。
「中に入って大丈夫?」
「大丈夫……あ、でも」
「どうしたの?」
「秀吉さんが、居る……」
私は玄関先で、佐助君に秀吉さんまで一緒にここへ来てしまった事を話した。
昨夜一緒に過ごし、起きたらすでにここに居て……
そしたら、秀吉さんまで一緒に居たこと。
すると、佐助君は佐助君なりにびっくりした表情を浮かべ。
そのまま説明したいと言うので、中に招き入れた。
秀吉さんは変わらず、びっくりするくらいぐっすり寝ていたので、とりあえず佐助君には座ってもらい。
お茶を入れて、そのまま話を聞く事にした。
「さっきの話だと、美依さんは眠って起きたら、現代に来ていたんだよね?」
「うん、そう。佐助君は?」
「俺もまるっきり同じだよ」
佐助君の話を聞いてみると、佐助君も春日山城の自室で夜、色々作業をしていて……
つい眠くなって、少しうつらうつらしてしまい。
起きたら、すでに現代の自分の部屋に居たんだとか。
しかも『不思議な夢』も見ていた。
「貴方にとって、忘れられない人生の一日になりますようにって、女神様が」
「私もそれ見たよ!まるっきり同じ夢!」
そして、佐助君は何故か確信的に『私も現代に来ている』と思ったらしく、そのままこの部屋に向かった。
現代では面識のなかった私達だけど……
佐助君には何故か、私がこの部屋に居る事が解ったと…不思議そうに言った。