〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第11章 俺の恋人は藍玉の天使《前編》❀豊臣秀吉❀
「……秀吉さんっ………!」
私は弾かれたように隣にいるはずの、秀吉さんを見る。
すると。
その小さなシングルのベッドから落ちないようにと、身を小さく固め……
私にぴったりとくっつくようにして、穏やかな寝息を立てる、秀吉さんの姿があった。
それを見て安心した半面、また違和感を覚える。
何も着ていない裸の秀吉さんが、私のベッドに寝ている事に。
「夢、だよね、これっ……」
半信半疑で、秀吉さんの頬に触れる。
これは夢で、きっと触れたら消えてしまうような。
そんな儚いものだと勝手に決めつけて。
しかし──……
秀吉さんは温かかった。
少し高めの体温、硬めの肌。
首筋まで撫でれば、秀吉さんの脈が打つのが、ハッキリ感じられた。
これは、夢じゃない。
「なんで、なんで…!?秀吉さんまで……っ」
思わず自分の頬に手を当てる。
そして、そのままみょーんと伸ばしてみる。
(い、痛いっ……)
頬に走った痛みに、改めて現実だと思い知らされた。
ここは、私の部屋。
戦国時代から五百年経った……
現代の私が生活していた部屋。
だって、京都に行く前のままになってる。
あのタイムスリップにあった、旅行に行く前の……
────ピンポーン
その時だった。
玄関から懐かしい、チャイムの音が聞こえてきた。
思わずどきーんと心臓が跳ね上がる。
(うそ、誰か来た……?)
こんな時に、一体誰だろう。
新聞とか勧誘なら出なくてもいいだろう。
でも……
ピンポーン、ピンポーン……
チャイムは絶え間なく響く。
これは確実に『出ろ』と言っている。
もしかして、友達とか、家族とか……
「ちょ、ちょっと待って……!」
とりあえず秀吉さんを残し、起き出すと。
クローゼットからワンピースとカーディガンを引っ張り出し、急いで着替える。
一応秀吉さんが見えないように、毛布を頭から掛け。
そのまま、ばたばたと玄関に急いだ。
絶え間なくチャイムは響いているので、それに急かされるように走る。
「はい、どなたでしょう!?」
そして、乱れた髪を撫でつけながら。
不用心にも、そのまま鍵を開け、ドアを開けてしまった。