〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第11章 俺の恋人は藍玉の天使《前編》❀豊臣秀吉❀
「……大好き」
すると、秀吉さんは恥ずかしそうに目元を緩め……
まぶたに、そっと優しく口づけを落としてくれた。
ああ、馬鹿みたいに幸せだな。
愛する人に出会えて、想い合えて。
それは一体、どのくらい確率が低い事なんだろう。
私は、その幸せの為に、何だって出来る。
その奇跡のような事に感謝して、私は目を閉じた。
これからも、幸せがずっと続くように信じて。
でもね。
明日がクリスマスって事は、今日はイヴで。
その夜は、やっぱり特別な一夜だったのかもしれない。
私と秀吉さんの身に起きる、
『奇跡のようなクリスマスの一日』。
秀吉さんの腕に包まれていた、その時は。
そんな奇跡が起きるとは、思いもしなかったのだ。
────…………
その夜。
私は不思議な夢を見た。
とても綺麗な、女神様みたいな人が出てきて。
私にこう言ったんだ。
『貴女にとって、忘れられない人生の一日になりますように』
その後、温かい光に包まれて……
身体が消えるような感覚を覚えた。
私は何故かとても安心して。
それに身を委ねたのだ───………
(…………?)
私はその温かな光から、身体が離れる感覚を覚え、ふーっと目を覚ました。
目覚め特有の、頭のふわふわ感。
ぼんやりしていた視界が、だんだんクリアになっていき……
意識がハッキリした時には、何故かとても懐かしい天井が目に入った。
(あれ、秀吉さんの部屋じゃない……?)
昨夜まで見ていた天井とは違う天井に違和感を覚え、むっくりと身体を起こす。
途端。
身体を起こして目に入って来た視界に、私は思わず絶句した。
「え…ここ……!?」
きょろきょろと当たりを見渡して、目に入ったもの。
脱いで、ハンガーに掛けられたスーツ。
小さな写真立てが置いてあるテーブル。
白いクローゼットから、少しはみ出た服。
その生活感剥き出しの部屋は。
────間違いなく、現代の私の部屋だった。
「うそ…なんで、なんで……!?」
開いた口が塞がらない。
だって、昨日の昨日まで戦国時代にいた。
愛する恋人と愛し合って……
一緒に布団で眠りについたはずだ。