〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第2章 蜜毒パラドックス《後編》❀豊臣秀吉❀
「……愛してる、美依」
瞬間、美依の身体がびくんっと跳ねた。
その柔肌を確かめるように、胸や腹を襦袢越しに撫でる。
美依が熱く荒い息をする中……
その耳元で甘く囁くように、声を紡いだ。
「愛してる女と繋がりたいと思うのは、当然だろ?俺は、もう…我慢出来ない」
「…っっ、秀吉、さん……」
「お前を抱きたい、美依。今すぐ、俺を注ぎたい」
そのまま、美依をふわりと抱き上げ、ゆっくり褥に寝かせる。
そして、小さな身体に覆いかぶさり───…………
心の奥底にある、己の完璧なる『本音』を口にした。
「絶対孕ませてやる、だから……俺の子を産んでくれ、美依」
美依は組み敷かれながら、目を見開き……
真っ赤な顔で下から見上げて来た。
(……俺は馬鹿だな、こんなの演技であって演技じゃない……全部、本音だもんな)
何を馬鹿な事を言っているんだろう。
自分の馬鹿さ加減に呆れてしまう。
こんな事を言って、美依が『うん』なんて言う筈がない。
だって、兄貴としてしか見ていないのだから。
なら、有無も言わさず啼かせてしまえば良かった。
思わず眉をしかめると……
(え…………?)
美依が、その細い腕を首に巻き付け、引き寄せてきた。
ぴったりと二人の身体は重なり、すぐ耳元で美依の吐息が聞こえる。
予想外の展開に戸惑っていると。
美依は、少し掠れた声で……
こう囁いた。
「私も、秀吉さんが、好きっ……貴方の赤ちゃん、産みたいよ……」
その瞬間。
ガラガラと音を立てて、理性が崩れ去ったのが解った。
少し頭を起こし、美依の顔を見る。
真っ赤に潤んだ瞳。
その煽情的な表情からは──………
一寸たりとも嘘を言っていない事が解った。
(美依……)
ああ、そうか。
『兄貴と妹』
そんな境界線を張っていたのは、自分達だけで。
本音は、お互いにそれをもう越えていたと言う事。
俺達は。
お互い、想い合っていたのだと───…………