〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第10章 聖戦!HONEY*NOEL ❀信長END❀
「へ!?」
私は思わず、素っ頓狂な声をあげた。
信長様から贈り物、それだけでびっくりなのに。
もっと驚いたのは、それを探すまでの『時間』だ。
砂時計の砂が落ち切る前と言う事は……
「それ、探す時間、すごく短くないですか!?」
「だから、一回落ち切るまでとは言わん。そうだな…三回。三回落ち切るまでに探してこい」
「それでも短いですよ!」
「ではさっさと探せ。もう砂は落ち始めているぞ?」
「え?もう始まってるんですか!?」
「げぇむの始まりは説明する所からだ」
「ウソ!」
弾かれたように立ち上がると、私は闇雲に天主中を探し始めた。
その贈り物は一体どんな形をしていて、どういったものなのか。
一切信長様からは説明は無い。
そして、三回砂時計の砂が落ち切るまでと言う事は。
だいたい砂時計は落ちるまでに三分だ。
だから、九分から十分の間に探さねば……
「うそ、短いよ…しかも、どう探せば……!」
信長様の文机をがさごそやりながら、チラッと信長様を見る。
すると、信長様は楽しそうに目を細め、脇息に肘をもたれ掛けて、くすくす笑っている。
きっと、探せないと思っているんだ。
私はそう思い、思い切って信長様に問いかけた。
「ヒントとかないんですか、ある場所の」
「ひんと?」
「見つける糸口をください!」
「そうだな……温かい場所だ」
「温かい場所?」
「俺の大事な『温かい場所』にそれはある……ほら、一回砂が落ち切ったぞ」
そう言って、信長様は砂時計をひっくり返し、また絨毯の上にぽんと置いた。
温かい場所。
布団の中か、火鉢の近くか。
とにかく思い当たる場所を、片っ端から探すしかない。
そう思って、至る所を探していく。
贈り物と言うからには、箱に入っていたり、包装紙包んであったり……
きっと『特別』な感じがするに決まってる。
でも、信長様の用意した物だ。
もしかして、すごーく解りにくかったりして……
「そんな事考え出したらキリないよ〜っ!温かい場所って何!?」
一回布団に戻って、ばさっとめくって……
そんな事をしていた時。
ある、ひとつの考えが頭に浮かんだ。
朧気な記憶にある、酔っ払って潰れて、ここへ運ばれた時。
───信長様は……温かかった。