〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第96章 桔梗色の恋情と雪の華❀明智光秀❀
「光秀さん……」
「……どうした?」
「私、これからも傍にいていいですよね?」
「美依……」
「私をずっと、捕まえておいてください」
その言葉に、目を見開く。
いつだったか……
『お前が思うがままに生きても、
俺が先回りして捕まえてやる』
そんな言葉も言ったなと。
片隅にある記憶に、思わず口元が緩んだ。
(……そんなの当たり前だろう)
俺はもう、お前を離せはしない。
お前の温もりを知ってしまったから。
その優しさと、強さに魅入られたから。
お前が居ないなんて、考えられない。
美依、お前と共に──……
これからの人生、
雪の華のように煌めいて輝くのだ。
「────馬鹿娘」
「……っ」
「当たり前の事を聞くな。俺が、どれだけお前を愛してると思う?」
「光秀、さん……」
「お前が俺に帰る場所をくれた。誰かの元に帰りたいなど…今まで思った事がなかったのに。俺はもう、お前を離せない」
額同士をくっつけ、間近で揺れる黒真珠の瞳を見つめる。
ああ、熱を孕んで黒い炎のようだ。
力強い炎は、俺を捕らえて離さない。
だから、共に生きよう。
この熱を受け入れてくれ。
お前の為に、存在する生でもいい。
俺の生き方は変えられないけど──……
お前がいれば、闇の道にも光は射す。
「愛しているよ、美依。傍に居させてくれ、お前の隣は心地良い。一生、死ぬまで……お前だけを愛し抜くと誓う」
「はいっ……!」
すると、美依は可愛い泣き笑いを俺に向けた。
ああ、愛しいな。
想いが堰を切ったように溢れ出して……
もう、泣きそうな程、幸せだ。
そして、二つの躰が一つになる刹那。
「はぁっ…美依っ……」
「光秀、さっ…ぁあっ……!」
「好い、美依っ……」
火花のように弾け飛ぶ。
恋しさも、切なさも、焦がれる気持ちも……
全てが混ざり合って、溶け合って。
絡み合う幸せよ、螺旋を描いて未来へ繋がれと。
そう願わずには、
いられない。