〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第96章 桔梗色の恋情と雪の華❀明智光秀❀
「光秀、さんっ…ありがとうございます」
「……もう一度、抱き締めていいか?」
「はい……」
「美依……」
強く掻き抱かれ、一瞬息が止まった。
ああ、温かい。
この人に触れられるのが嬉しくて……
思わず涙が溢れそうになってしまう。
そのまま力が掛かって、再度身体が褥に沈んだ。
光秀さんの重みすら愛しい。
背中に回された腕は、私を離すまいと力強くて。
この人に求められてる。
必要とされてる、そう思ったら──……
心と身体の、ど真ん中が熱くなった。
「美依…身体が熱いな」
「光秀さんも、熱いですよ」
「ああ、お前に火照らされている」
「……っあ」
その時、首筋に強く吸いつかれ、私はビクッと身体を震わせた。
さっき温泉でも同じ場所にこうされた。
そんなに強く吸ったら……!
でも抗議する間もなく、唇は首筋から胸元に降りてきて、襟の袷に顔を埋めてくる。
光秀さんはそのまますうっ…と息を吸って。
まるで、恍惚としたように言った。
「お前だけの…いい匂いがするな」
「……っ」
「堪らなく疼く……美依」
「は、はいっ……」
「先程の続きは、いつがいい?」
「えっ……」
その言葉に、光秀さんを見てみれば、光秀さんは私の胸元から顔を上げて、不敵な笑みを見せてくる。
こんな風に触れておいて。
『続きはいつがいい』なんて……
この人はどこまで意地悪なんだろう。
(でも、私も光秀さんに触れたい)
愛しさは止めどなく溢れてしまう。
この人が好きで好きで好きで……
もっと、意地悪されたいと。
貴方のに熱に溺れたいと、切に願う。
「貴方が私を蕩かすから…もう、限界です。ちゃんと責任取ってください。意地悪しないで…もっと、触れてくださいっ……」
私が涙声で言うと、光秀さんは『承知した』と言って、私の唇を塞いだ。
絡んだ吐息が混ざり合う。
心も身体も……
トロトロになって溶けていく。
私達はお互いの体温を感じながら、冬の寒い空気を熱くさせていった。
窓の外にはいつしか雪の華が降り始めて。
でも、私達は世界を白銀に染めているなど気づきもしないほど、お互いの熱に溺れていったのだった──……
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