〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第96章 桔梗色の恋情と雪の華❀明智光秀❀
「────何をそんなに期待している?」
「……っっ!」
突然耳元で甘い声がして、私はびくっと身体を強張らせた。
少しだけ振り向けば……
光秀さんの意地悪く笑う顔が間近にあって。
咄嗟に逃げようとしたら、腰に腕を巻き付けられて、身動きが出来なくなってしまった。
「やっ…」
「逃げるな、美依」
「あ…っ」
耳元に熱い息がかかる。
その誘うような甘やかな声に、私は敏感に反応して肌を震わせた。
(ち、近い………!)
背中が温かな肌に密着しているのが解る。
お腹に回った腕は、私を力強く引き寄せていて。
その湿った体温を感じるだけで、瞬時に身体が熱を上げた。
「随分と熱いな、逆上せたか?」
「そ、んな、ことは……!」
「……そうか、なら」
「あ…っ…!」
いきなり首筋に柔い温もりが落ちてくる。
そして、ちゅうっ…と音を立てて吸われたのが解った。
その蜜にも近い感覚に、身体が蕩け始める。
お腹の前で交差されている手は、徐々に肌に沿って這い出して……
両手がふわり、と胸の膨らみを掴み上げた。
「…っ、光秀、さんっ……!」
「少し大きくなったか…相変わらずいい感触だ」
「そ、れ、以上はっ…!」
「嫌、ではないのだろう?」
「…っあ、ぁっ……」
ふに、ふに、と鷲掴みにされて揉まれる。
その骨張った手は、私が気持ちいい触れ方を知っているから。
その感触だけで肌が粟立ち、過敏になる。
と、人差し指が、その胸先を弾いた。
瞬間、電気が走ったみたいに、甘美な刺激が身体を突き抜けて。
私はみっともなく、その恥ずかしい声を響かせた。
「ぁあっ…!」
「いい声だ、美依。もっと啼かせたくなる」
「ほん、とに、もうっ…」
「お前から誘ったのだろう……?」
「…っ違……!」
(違う、とも、言えない…!)
最終的に『一緒に入りませんか』と言ったのは私だった。
それでも、そうやって言う事。
光秀さんのことだから、見越していたのだと思う。
私はまんまと意地悪な罠にハマった。
こうなる事は予想できるだろうと…
それも解っていると踏んで、私に言わせたのだ。
それでも本気で嫌がらないのを知っているから。
やはり私が誘った事になるのか。