〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第95章 花盗人と籠の白百合《後編》❀伊達政宗❀
「政宗、軍議お疲れ様!」
「美依、どこか行くのか?」
「私、政宗と一緒に住むことにしたの」
(……は?)
その発言に、思わず目を見開く。
俺と一緒に住む……だと?
まだ信長様には本当の意味で認められていないのに。
秀吉達だってそうだ。
もし美依を連れて城を出れば、またなんだかんだ文句を言われるだろう。
それを承知で言ってんのか、コイツ。
俺が思わず『本気か?』と尋ねると、美依は大袈裟なまでに大きく頷いた。
「実力行使に出ようと思って。なんかね、私思ったの。幸せを掴むために…自分から殻を破らなきゃなって」
「美依……」
「だから、お城を出ていくの。信長様には申し訳ないけど…やっぱり私は、政宗の傍に居たい」
「……」
「だから、連れて行ってくれませんか…?」
俺を潤む瞳で見上げ、美依は真剣だ。
頑なに自分の幸せを考えなかった美依。
そんな美依が──……
俺の傍に居たいからと実力行使に出ると。
それは美依なりの成長なのか。
やっと自分らしく、自分の人生を歩もうと。
────新たな世界に踏み出すために
「ひゃっ……」
俺が美依の腰に腕を回して、ひょいっと持ち上げると、美依はびっくりしたように可愛い声を上げた。
ああ、羽みたいに軽いな。
このまま飛んでいってしまいそうなくらい。
ならば…しっかり繋ぎ止めるしかないだろ?
俺の身体で、声で、想いで、
お前が、笑って傍にいられるように。
「とんだ誘い文句だな、それ」
「え……?」
「かっさらってくれって言ってんだろ?」
「……っ」
「なら…お姫様の仰せのままに」
美依と視線を合わせて、ふっと笑う。
俺の気持ちは変わらない。
お前を…俺だけのものにしたいから。
かっさらってくれと言うなら──……
それは大歓迎、叶えてやるよ。
「お前を捕まえたなら、もう二度離さない。飽きる暇なんてないくらい、愛してやるよ。だから、大人しく捕まっとけ。絶対…死ぬほど幸せにしてやる」