〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第95章 花盗人と籠の白百合《後編》❀伊達政宗❀
────閉じ込められていた、俺の白百合
これからは、夢を見ろ
自分の幸せを掴むために
その白い羽根を広げて……
お前だけの『自由』を掴み取れ
俺達は二度目の触れ合う時間を堪能しながら、お互いに『この先の未来』を思い描いた。
その中に、必ずお互いは居るのだと。
そう確信しながら、顔を見合わせ、笑い合う。
それはとても幸福な時間で──……
離れていた時間を埋める、甘くて蕩けるような刹那だった。
*****
「おい、政宗!お前、また美依の部屋に泊まったのか?」
「秀吉、それお前が気にする事じゃないだろ?」
「いいか、美依は大事な妹みたいなもんだ、節度を守ってだな……」
軍議の終わりに、今日も廊下で秀吉にとっ捕まって、くどくどと説教を食らう。
俺は半分流して、それを聞きながら……
廊下から見える安土城の庭に目を向け、小さく息を吐いた。
────あれから、どうなったかと言えば
俺は織田軍の一員として、この安土の土地に身を寄せている。
正直、信長様の右腕左腕…の片方にはだいぶ疑われたが。
それでも、信長様の言う事は絶対らしい。
信長様は半分面白がって俺を傍に置いているから、なんだかんだ安土の武将達には馴染んでいるとは思う。
あと、美依は完全には俺のものになってはいない。
信長を始め、安土の武将達(特に兄貴分と言い張る秀吉)に、美依はとても可愛がられていると解ったから……
まだ『みんなの美依』でいさせろと。
信長様直々に命令されては、そう簡単にかっさらうわけにはいかないんだな。
「……だからな、解ったか、政宗」
「あ、悪ぃ、聞いてなかった」
「〜〜〜っ!お前な……!」
「廊下でうるさいですよ、二人共」
と、その時。
対峙する俺と秀吉の元に、家康が呆れた顔をしてやってきた。
あー、相変わらずの無愛想顔。
そうか…家康も今日から登城していたんだったな。
家康はあの後、俺と繋がっていた事を信長様に素直に話し……
信長様は家康の考えを理解し、特に処罰も与えなかったのだが、敵と言われている人物に勝手に手を貸した事は責任を取ると。
家康は自らを登城禁止とし、謹慎していたのだ。