〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第95章 花盗人と籠の白百合《後編》❀伊達政宗❀
「政宗、美依と話が済んだら天主に来るがよい。貴様を織田陣営の一員として認めよう」
信長は美依の額に軽く口づけを落とし、俺に向き直ってにやりと不敵に笑った。
その憑き物が落ちたような、晴れ晴れした顔。
案外囚われていたのは…信長の方だったのかもしれない。
そして、信長はそのまま部屋を出ていく。
俺は美依と二人で取り残され……
小さく一回息をつくや否や、美依がすぐに駆け寄ってきて、俺に勢いよく抱きついた。
「おっと……」
「政宗っ…来るって信じてたよ……!」
「そっか…遅くなって悪かったな」
そのまま美依を抱き締め、背中を優しくさする。
ああ、この体温、この匂い。
それは俺が求めていたものだった。
もう一度、この腕に抱けるなんて……
本当に、夢みたいに幸せで参ってしまう。
色々と、コイツに言うことはある。
話さなければならないことも、たくさん。
でも──……
ひとまず、これが先だ。
「────美依」
「んっ……」
美依の顎を掬い、噛み付くように口づける。
すぐさま深くなった口づけは……
思考回路まで蕩かし、蜜に絡み合った。
────触れたかった、コイツに
一度は諦めようとしたけれど……
やっぱり離れられないのだと実感する。
一度温かさを知ってしまったから。
それに囚われたのは……俺だ。
癪だが、そういう事にしといてやる。
俺は、白く無垢な花を盗んだ……
花盗人、なのだから。
「美依……」
「あっ……」
唇を離して、するっと身体に手を這わして。
背中から腰を撫でると、美依の身体が儚く震えた。
ああ、口づけたら、もっと欲しくなってきた。
だからもう少し、もう少しだけ。
お前を堪能させてくれ。
待ったは…聞かないし、待てないからな?
「声…少し我慢しろよ?」
「……っ」
「────愛してる、美依」
「ぁっ……」
もつれ合いながら、身体は崩れ落ちて。
その華奢な身体は、見る間に熱を上げていった。
その熱を感じながら、俺は……
またみっともなく欲情するのだけど。
その幸せは、際限なく俺を満たしていく。