〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第95章 花盗人と籠の白百合《後編》❀伊達政宗❀
「信長、様っ…やめっ……!」
「止めてやる理由がない。貴様は俺の物だ、美依」
「やぁっ…ほんとに、だめっ……!」
「ほう、貴様はそのように啼くのか。実にそそる…もっと気持ち良く啼かせてやろう」
信長が獰猛な笑みを浮かべ、身体に手を這わせ始め…
政宗とは違う乱暴な触れ方に、美依は身体を震わせて強張らせた。
このまま、本当に信長のものになってしまうのか?
強引に抱かれて、まるで本当の意味で犯されるように。
助けて、政宗
政宗、
政宗……!
心の中で名前を呼ぶ。
何度も何度も何度も、
あの不敵で優しい笑みを思い出し……
美依は怖いものから目を逸らすように、ぎゅっと目を閉じた。
その、刹那だった。
「────美依っ!」
俺が離れの部屋に飛び込むと。
部屋の中は真っ暗で、その畳には人間が二人もつれ合うように倒れ込んでいた。
一人は信長。
信長は誰かの小さな身体を押し倒していて、俺が扉を開けた瞬間、振り返っては鋭い目で睨んできて。
その押し倒されている誰かは。
俺の姿を見た瞬間、顔を歪ませ、叫んだ。
「政宗ぇ………っ!」
「……っ!」
美依の声を聞いた瞬間、信長は目を見開き、再度美依の方に向き直る。
そして、くくくっ…と押し殺したように笑い。
ゆっくり美依から身体を起こした。
「なるほど、貴様が…政宗か」
「……」
「俺の美依に勝手に手を出し、そして染めた。何も知らない美依は貴様の色になり、俺に歯向かうようになった」
「信長……」
「万死に値する行為だ、死ぬ覚悟はあるのだろうな」
信長は、そのままゆらりと立ち上がり……
腰の刀の柄に手を掛けたのが解った。
刹那、
────キィンッッ!!
「……っ!」
抜かれた刀が、振り向きざま振りかぶって俺へと繰り出され。
俺は首が飛ぶ寸前に抜刀し、それを受け止める。
二つの刃がギリギリと音を立てて触れ合い……
信長と対峙していると、信長が狂気に満ちたような嘲笑を浮かべて、俺に言った。