〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第9章 聖戦!HONEY*NOEL ❀政宗END❀
────白い天使は舞い降りる
儚く、静かに、降り積もって、
世界を純白に染めては……
人々の心を、穏やかに、温めていく。
(…………あれ?)
腕の中の温もりが無くなった事に気が付き、ふと目を覚ますと。
確かに腕の中で寝息を立てていた、美依の姿が無かった。
辺りは、まだ暗い。
夜明け前なのか、とても静かだ。
先程まで散々愛し合い、この気怠さ同様、美依だって身体が辛いはずだ。
それなのに、腕に居ないなんて……
「美依……?」
「あ、政宗、起きた?」
思わず心寂しくなって名前を呼ぶと。
明後日の方から、昨夜散々啼かせた可愛い声が聞こえてきた。
ごろんと寝返りを打ち、真後ろに身体を向けると。
簡単に俺の着物を羽織った美依が、障子を少し開け、外を伺って居るのが解った。
「……何やってんだ?」
「雪を見てたんだよ。あ…着物、勝手に借りてごめん」
「ん、いい。それじゃ寒いだろ…ちょっと待て」
むっくり起き上がり、毛布片手に美依に近づく。
そして胡座をかき、背中から毛布を被って……
美依を胡座の膝に座らせた。
そのまま一緒に毛布に包まれば、人肌でとても暖かい。
美依は横座りで、裸の胸にくっつき。
そして、幸せそうに小さく笑った。
「ふふっ、あったかい」
「お前の身体がまだ火照ってるからな」
「政宗も…あったかいよ?」
「お前に触れてると、勝手に火照らされる」
「なにそれ…ああ、でも、雪綺麗だなぁ……」
美依が再度、少し開いた障子から、外に視線を向ける。
見ると、安土城の庭は綿のような雪が、すっかり降り積もり……
世界を白銀色へと染め上げていた。
この時期、雪なんて珍しくもないし。
別に降ったからと言って、綺麗とも思った事は無かったが……
「別に、雪くらいいつも降るだろ?」
「でもクリスマスに降るって所が、ロマンがあっていいんじゃない。特別って感じがする」
「浪漫、ねぇ……」
確かに真夜中に二人で雪を見るなんて、浪漫かもしれないが。
でも、俺が『特別』と言うならば、何方かと言うと……
そう思って、美依をふんわりと抱き締め直す。