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〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀

第94章 花盗人と籠の白百合《中編》❀伊達政宗❀






(コイツの笑顔って、なんか……)





まずい気がする。
何故か、直感的にそう思った。

俺の心がかき乱れる感覚がする。
ザワザワと音を立てて……
波風を立てるような、そんな心地。

俺はただ、何も知らない美依に、色んなものを見せてやりたいだけだ。

きっと、それだけの感情。
妙にコイツに惹かれるのは……
きっと、美依の存在が新鮮だからだ。




俺は芽吹き始めた感情にそっと蓋をし、心を落ち着かせた。

これ以上進んではならないと……
何故か歯止めがかかって、内心複雑な心境だったのだった。















*****















「わぁ…美味しそう……!」



机の上に並んだ数々の料理を目の前に、美依は目を輝かせて感嘆の声を上げる。

俺はそれを見て、思わず頬が緩み。
無意識的に甘い声で『良かったな』と言葉を紡いだ。



『外で一緒にご飯が食べたい』という美依の要望を叶えるために、深夜でもやっている飯屋に美依を連れてきた。

少し狭い店内、殺風景で雰囲気も何も無い。
しかし、客もさほど居らず、美依には丁度いいかと。

そして、この飯屋の料理は絶品だから。
美依も喜ぶんじゃないか…と思っていたら案の定、無邪気な子供みたいな笑顔ってわけだ。




「冷めないうちに食えよ?」

「うんっ、いただきます…!」

「食後には甘味もあるからな、腹に隙間空けとけよ?」

「わぁ〜楽しみ!」




そう言って、美依は箸を進める。
一口食べては、本当に美味そうに満足げな顔をして……

それは見ているだけで気持ちいいと言うか、こっちまで釣られて笑顔になってしまう。



(コイツ…いい顔するな)



城でも美味い飯は食っていただろう。
しかし……
『誰かと』食べていた、というのは不明だ。

案外、あの部屋で独り寂しく飯を食っていたかもしれない。

美依はあの部屋にいて、本ばかりを読んで毎日を過ごして……
それは不自由はなくとも、何と窮屈な生活だろう。

今夜だけでも、それを忘れて。
心の底から笑えたらいいな。

そんな思いを込めずにはいられない。







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