〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第94章 花盗人と籠の白百合《中編》❀伊達政宗❀
「俺がお前に外の世界を見せてやる。俺の手を取れ、美依。絶対後悔させない…死ぬほど満足させてやるよ」
目を見開く美依。
俺は不敵に笑って頷いた。
決行は明日の夜。
籠の鳥のコイツを、
────外の世界へ引っ張り出す
「独眼竜……」
「しー…城を出るまでは喋るな」
「で、でも……」
「責任は俺が全て取る、大丈夫だ」
次の日の夜。
約束通り、俺は美依を外に連れ出した。
美依を訪ねれば、美依は俺に言われた通り、新しい着物に着替え、綺麗に化粧もして待っていて。
ああ、こうすると余計に可愛いな。
そう思って若干見惚れたのは内緒だ。
「こっちだ、美依」
いつも俺が城に出入りしている経路を使って。
美依の手を引き、警備の目をくぐってそのまま城の外に出る。
今日は晴れていて、月も明るく。
俺達二人の影をくっきり地面に映していた。
そんな中、大人しくついてきた美依は……
城から城下へ行く途中で、まるで興奮したような弾んだ声を上げた。
「本当に外に出てきちゃった…!」
「俺は嘘は言わない、朝までには帰らなきゃならないが…外の世界、見てみたかっただろ?」
「うんっ……!」
(……っ本当に可愛いな、コイツ)
興味深々って感じの輝く表情。
それは『一生籠の鳥だ』と諦めた目をしていた、昨夜とは違う。
俺を客だと勘違いして茶に誘った時の……
いや、それ以上に活き活きした顔をしている。
本当は、ずっと外に出たかったんだな。
書簡を読むことで我慢をして──……
ずっと外の世界に憧れていたのだろう。
だから、俺がそれを叶えてやる。
なんでも、好きな事をさせてやる。
「お前の好きにしていいぞ、どこに行きたい?」
「え…私が決めていいの……?」
「ああ、お前がしたいことをすればいい。どこでも付き合ってやる」
「ありがとう……!」
小さな美依を見下ろしてみれば、美依は最大級に可愛い笑顔でにこっと笑った。
瞬間、どくんっと心臓が高鳴って……
まるで、駆け足のように鼓動が早く駆けるのを感じた。