〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第92章 君が傍にいるだけで《後編》❀織田信長❀
「おい、貴様ら。宴の準備がある故、先に城へ戻るのだろう?だったら、さっさと行け」
「はっ、申し訳ありません、信長様!」
「よし、戻って宴の料理を作るか」
「手伝いますよ、政宗さん」
「では、家康様、私も!」
「三成、お前が手伝ったら余分な仕事が増えるのではないか?」
わいわい、がやがや。
俺が一喝すると、五人で騒ぎながら武将達は城へと戻っていった。
美依と六花と三人で見送っていると…
美依がふふっと小さく笑い、にこにこと満面の笑みで俺を見上げてきた。
「みんな嬉しそうでしたね、良かった!」
「騒がしい初宮参りになったな」
「私は楽しかったですよ」
「貴様が楽しかったのなら良い」
髪が崩れないように、美依の頭を優しく撫でる。
美依は気持ち良さそうに目を細めて。
その顔は六花の母ではなく……
恋仲時代の美依を彷彿させた。
考えてみれば、しばらく美依を抱いていない。
それすら出来ぬ状況にあったとは言え……
よくここまで俺自身、我慢したなと思う。
美依は六花の母親で。
それでも、俺にとってはたった一人の女だ。
美依が嫌じゃないなら──……
今一度、美依をとろとろに蕩かすほど愛してみたい。
「美依」
「はい」
「身体はもういいのか、体調は悪くはないか」
「はい、今は大丈夫ですよ」
「そうか、ならば……」
「……?」
黒い瞳で、俺を不思議そうに見上げる美依。
ああ、愛らしいな。
母となった今でも……
純で素直な貴様は変わっていない。
もちろん、女としての魅力も。
今でも、こうして惹かれるのだから……
(まだまだ、貴様を溺愛している俺も変わらない)
「近々、六花を一晩女中に預ける」
「え、何故?」
「決まっているだろう?」
そっと耳元に唇を寄せて。
囁き、吹き込む言ノ葉は──……
貴様への『誘惑』の綴り。
まだまだ俺も男なのだから。
「────貴様を、今一度女にする為だ」
異議は聞かない。
また俺に愛されろ、美依。