〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第91章 君が傍にいるだけで《前編》❀織田信長❀
「美依……」
「はい……」
「愛している」
「私も…愛していますよ」
美依の手が俺の頭に触れて……
髪を梳かれるたびに、細い指に髪が絡んで心地良さが生まれる。
ああ、幸せだ。
愛しい者を妻に出来て、こうして抱けて。
これが一生続くなら──……
血塗られた俺の人生も、少しは光があると言うものだ。
体勢を変え、改めて美依に覆い被さる。
見上げてくる黒い瞳は、怖いほど澄んでいた。
俺の全てを見てくれる、愛しい視線。
俺だけをいつまでも見ていて欲しい。
そして、
────その瞳で見続けよ、美依
俺と貴様……二人で歩んで行く人生を
「美依、今日は俺達の初夜だ」
「そう、ですね……」
「もう、何も問題はないだろう?」
「何がですか?」
「貴様が子を孕んでも」
「……っ、それは、そうですけどっ……」
「なら…今宵は逃がさん、抱かれていろ」
「あっ……!」
こうして、俺達が夫婦になって最初の甘い夜は過ぎていった。
散々、飽きることなく美依を抱いて……
その美依がくったりと意識を飛ばし、抱き潰してしまったと実感したのは、空が白んで来た時だった。
俺だけの純白の花嫁。
これからも──……
愛らしく、俺のためだけに咲き続けろ。
華には水を。
美依には溢れんばかりの愛を。
全てを、貴様に注いでやる。
『貴様が子を孕んでも何も問題はない』
その時、美依に言った事。
それは美依を逃がさないための言葉だったけれど……
初夜から、三月経った時。
美依の腹に子が宿っていると判明し、多分初夜の契りの時の子だろうと、俺は何故かそう思ったものだ。
それだけ──……
あの夜は甘く濃密な時間だったと。
思い返すだけで、心が紅く染まる。
それが結晶となったなら……
それは、当たり前の奇跡なのだ。