〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第91章 君が傍にいるだけで《前編》❀織田信長❀
『信長様、おめでとうございます!』
『男か、女か』
『お姫様ですよ!』
『そうか…美依の様子は?』
『美依様もだいぶ落ち着かれました、本当に頑張りましたよ』
『丸二日半かかったからな……』
『ええ…大変なお産でございましたね』
『美依には会えるのか』
『はい、お姫様ともご対面なさいませ』
俺は生まれてきた姫を『六花(りくか)』と名付けた。
六花とは雪の異名だ。
その日は朝から雪が降っていたから。
雪の日に生まれた娘が……
花のように、人生を咲き誇れるように。
いつまでも愛される花であるように。
厳しい乱世を癒す、一輪の花になれ。
そんな願いを込めた。
二人だけの関係が、三人に。
それが現実となった時、俺は喜びしか感じていなかったのだが……
子を持つという事がどれほど大変で。
美依自身にも、想像を越える負担が掛かるのだという事を、改めて実感する事になる。
六花の父親として、美依の夫として。
何をしてやれるのか、何が必要なのか。
俺にとっての『未知』は、まだまだ始まったばかりだったのだ。
君が傍にいるだけで《後編》へ
続く──……