〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第90章 菫色の指切り-貴方が教える×××-《後編》❀石田三成❀
「少し市の方へ行っていました」
「買い物?」
「…ちょっとした鬼退治って所ですかね」
「え?」
私の発言に、美依様はキョトンとした顔で私を見る。
実はあの男達に会って、美依様を襲った事への報復をしていた…なんて、言えるはずもない。
まぁ、少し懲らしめただけですが。
あまり殺気だった姿は、美依様には知られたくないし…
これで男達も、反省しただろう。
私の愛する人を襲ったらどうなるか…身に染みて解っただろうし。
「美依様が気にする事でもありませんよ」
「そっか…」
「それよりも、今日はどうしました?」
「あ…特に理由はないの」
「え?」
私が聞き返すと、美依様は少し頬を染めて俯いて…
胸の辺りで指をもじもじさせながら、ひどく言いにくそうに私に言った。
「特に用は無くても、会いたかったから…会いに来ちゃった」
(…っ、本当にこの方は……)
あまりに可愛らしい言葉に、思わず面食らってしまった。
こういう所に…本当に弱い。
健気な花みたいな愛らしさ。
純で素直で、真っ直ぐな姿勢。
本当に…貴女が好きだと、馬鹿みたいに思う。
そして──……
私は獣みたいな男だと実感するのも、こういう瞬間で。
すぐさま、欲しくなる。
貴女をこの身に感じたくなる。
ああ…えげつないとでも言うのか。
────私から指切りの約束を
『現実』のものにしてもいいですか?
「美依様…その、良かったら」
「うん」
「今から、部屋に来ませんか。その…貴女を、可愛がりたいと思っているのですが…」
「……っ」
「だめ、でしょうか」
さり気なくその手を取ると、その小さな手は微かに熱く…
そのふわりとした肌の感触が、私の手にしっとり馴染んだ気がした。
俯く美依様の返事を待っていると、美依様は私の手を優しく握り返してきて。
それはそれは可愛らしく、恥ずかしそうに…
私の想いに、応えてくれた。
「三成君がそうしたいなら…いいよ」
(……本当に、幸せだ)
貴女と想い合えて、触れられて。
こんな幸せ者はいない。
貴女は私の憧れだった。
ずっと手が届かないと思っていたのに。