〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第88章 Dear…《後編》❀豊臣秀吉❀
(まぁそれでも、たまにはこうしたくなるけど)
美依の膝を堪能しながら、笑みを零す。
珠々が居たって、俺だって時には美依を独り占めしたい。
だが俺がこうしていると、珠々も子供ながらに、何か理解しているのかも…とたまに思う。
現に、今日の今だって。
「もうちょっとしたら交換なんだからねっ」
まるで捨て台詞のような言葉を放って、珠々は隣の部屋に走って行ってしまった。
そういや、さっきから隣の部屋は、珠々のお気に入りの女中が掃除をしてたっけ。
珠々なりに気を効かせているのかもしれないなぁ。
そんな事を考えていると…
頭の上から、盛大なため息が降ってきた。
「もぉー、子供に気を遣わせるなんて」
「やっぱり珠々、そうなのか?」
「そうだよ、あれで結構解ってるんだから」
「そうかぁー」
「そうかぁーじゃないよ、もう」
そう言いながら、美依は俺の前髪を細い指で梳いて。
ちょっと眉を寄せて、怒ったような顔。
また怒らせちまったな…と思いつつも、その指が与える刺激に心が温かくなる。
少しくすぐったくて、気持ちいいな。
美依から与えられるものは、何だって心地良い。
俺が目を細めて美依を見つめると…
美依も優しく笑って見下ろしてきた。
「秀吉さん、今ヤキモチ妬くと後が大変だよ?」
「……どーゆー意味だよ」
「またしばらく、私は子供に独占されるから」
「え……」
「うん、それはつまりね」
すると、美依は自分の腹に手を当てた。
そして、最大級の『母親』の笑みで──……
その事実を、俺に告げた。
「────次は、男の子かな?」
時は巡る。
運命は廻る。
星の数のめぐり逢いの中で、
気がつけば、お前が傍に居た。
俺だけに輝く光だったお前は、
いつしか命の連鎖を繋いで──……
俺に喜びを与えてくれた。
繋ぐべき手は増えて、
俺はそれに戸惑った事もあるけれど。
お前を愛し、その結晶は
またキラキラと輝いているから。
俺はそれを守っていきたいと思ったんだ。