〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第88章 Dear…《後編》❀豊臣秀吉❀
「今日は…色々ごめんな、美依」
「え……?」
「お前に珠々にヤキモチ妬いてるのかって言われて、少し…逆切れした。その通りだったから」
「……」
「結局、まだ餓鬼なんだよな、俺」
思わず嘲笑が漏れる。
子供な自分に呆れすぎて。
美依は立派に母親になったと言うのに…
全然成長しない自分が、情けなくて。
それでも…俺にも譲れない想いがある。
「お前が好きすぎて、まだ父親になりきれてないのかもな。どうしても…お前を独り占めしたくなっちまう。お前は俺の唯一の女だから」
「秀吉さん…」
「でも、珠々が大切じゃない訳じゃないぞ?お前と珠々じゃ想いの形も意味も違うから…どっちも好きで大切だ」
頼むから、本音を言わせてくれ。
我儘でも、子供っぽいと言われようとも…
それは俺なりに抱える大事な想いだから。
理解は出来なくても、感じて欲しい。
俺の心を、
────誰よりも愛してる、お前に
「俺は父親だが、一人の男だ。珠々の親であっても、それは変えようのない事実だから…俺は、お前だけを愛したい時だってあるんだ。それは珠々をないがしろにしたいんじゃない。俺がお前も女に戻れって言ったのは、そーゆー意味だよ。あの時は言葉が足らなかったけど…お前にも同じ気持ちでいてほしいから」
たまには、恋仲の頃のように。
いつもは難しくても、時々は…
改めて言葉に出してみれば、ひどく駄々をこねているような、そんな気にさせられた。
美依は俺の話を静かに聞いていたけど…
やがて、俺の方に向き直ってきて。
俺を見つめながら、ぽつりと言葉を漏らした。
「……ごめんね、秀吉さん」
「美依……」
「私はそんなに器用じゃないから、本当に…すずしか見えてなかった。それが当たり前だとずっと思ってた」
「……うん」
「秀吉さんは、私もすずも一生懸命愛してくれているんだね。母親になったら、もう女ではないような気がしてたけど…秀吉さんは、私の事、まだそうやって見てくれるんだね」
そう言って、美依は胸に身体を預けて、引っ付いてくる。
そんな甘えた仕草を見せるのは久しぶりで。
そんな美依の行動に、ドクッ…と心臓が高鳴ったのが解った。