〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第88章 Dear…《後編》❀豊臣秀吉❀
(夫婦って…なんだろうな……)
色々あった後、美依と一緒になって。
親にもなって、それなりに経験して…
たくさん喧嘩もして、仲直りもして。
それでも、解らない事ってたくさんある。
俺達は…どう在るべきなのだろう?
頭でいくら考えても答えは出ない。
そんなこんなで御殿に帰ってみれば、すでに珠々は女中達に寝かしつけられて、一人で褥で眠っていて。
それを見た美依が驚いた事。
今まで一人で寝た事なんて無かったから。
そんな珠々を横に見ながら、訪れたのは久しぶりの二人の時間だった。
そんな時間に最初は少し戸惑った俺だが…
ずっと、こうしたかったのだと。
望んだ時間の訪れに、少しだけ心が浮ついたわけで──……
*****
「久しぶりだな、こうするの」
「……そうだね」
俺が話しかけると、美依は小さく柔らかな声で答える。
二人とも寝間着に着替え、俺は美依を膝に後ろ向きで座らせて…
その身体を背中から抱き締めながら、久しぶりの時間を堪能していた。
こうしていると、昔と何も変わらない。
温かな身体も、甘い匂いも…
それに魅せられ、骨抜きになった俺も。
美依の全てが好きで好きで堪らない、そんな俺は今だここに健在のようだった。
「珠々が一人で寝てくれなかったら、出来なかったな」
「うん……」
「いつの間にか珠々も成長してたんだなぁ…この前生まれたばっかだと思ってたのに」
「……」
「ま、おかげでお前を独り占め出来るけど」
隣の褥に眠る珠々を確認してから、敢えて茶化すように苦笑して、その首筋に顔を埋める。
軽く唇で吸い付いたら、美依は肌をぴくっと震わせた。
(ああ、堪らないな、こーゆーの)
途端に心が甘く疼きだす。
ほのかに桃色になる、白い首筋。
がっつきたくなるけれど…
まずは、きちんと筋は通さねばならない。
俺はそう思い、その肩に自分の顎を乗せ。
謝罪の言葉と、自分の思いを口にした。