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〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀

第85章 純愛イノセンス《中編》❀徳川家康❀





「ちょっと美依、わさびの様子見てきて」




俺は美依を無理やり立たせると、いつの間にか庭の隅で草を食べているわさびの方に美依を追いやった。

美依は特に不思議がる様子もなく『はーい』と素直にわさびの様子を見に行って…

俺はと言うと、幼い美依に色目を使う、この蒼い目の男を睨みながら牽制するように凄んだ。




「ちょっと政宗さん、あれでも一応俺の妻なんで」

「知らねぇなぁ、今は違うだろ?」

「…っ、違わないです!」

「なら、俺より先に惚れさせてみろ、自分に」

「あ、あんたね……!」

「今後が楽しみだな、家康」




(……っ完璧に楽しんでるな、この人)


ニヤリと不適な笑みを浮かべる隻眼の竜。
本当にこの人を敵に回すと厄介だ。
そもそも『大人の美依』が俺を選んでくれたのだって、奇跡みたいなものなのに…



────惚れさせてみろ、なんて
簡単に言ってくれちゃ困るんだよ



俺はこめかみを押さえて、深くため息をつく。
そんな俺を見て、可笑しそうに笑う政宗さんの声が、やたら耳の奥まで届いた気がした。















*****















『男を知らない娘に、それを覚えさせる絶好の機会だろ?』




そんな政宗さんの爆弾発言。
あの人が有言実行する性格だとは解っていたが、政宗さんはどうやら本気のようで…

次の日も、幼い美依を構いにやってきた。
美味い料理まで持参し、胃袋を掴む作戦もばっちりのようだった。

当然の事…美依は嬉しそうに、きゃっきゃと騒いでいて。

これじゃ本当にかっさらわれるぞと思いながらも…俺の方を向かせる自信もなく。

もし『あの夢』が何か関係していて、猶予は三日間だったとしたら…

明日が過ぎれば美依は元には戻るけど、それを待っているだけならば、美依が幼児化した意味はなんだったのかと言う話になる。




貴方達は惹かれ合うべくして惹かれ合った
唯一の存在である事を
その身で実感するのです──……




あれは、どういう意味なんだろう。
確かに美依の初恋から俺を想ってくれればいいのに、とは思ったけど。

何をその身に実感すればいいのか。
俺はまだ解らずにいた。







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