〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第84章 純愛イノセンス《前編》❀徳川家康❀
「────愛してる、美依」
恋仲から夫婦になって。
たくさん想いは通わせてきたけど、その度に美依を好きになる。
どんどん、際限なく。
苦しいくらいに愛しくて…
泣きたくなる程、尊い気持ち。
「私も、愛してるよ」
「なら…もう一回、しよ」
「きゃっ…ぁっ……!」
(ああ、本当に止まれなくなる)
何度も、何度だって。
この子が欲しくなる、本当に馬鹿みたいだ。
今は、美依自身が知らない、美依の良さまで解るから。
だから、この子の事で知らない事なんてない。
そう思っていたけれど…
俺はまだ少し、甘かったのかな。
俺の知らない美依の気持ち。
それはいつでも、すぐ隣にあったんだ。
それを聞いたのは、この少し後。
────美依の切な願い事を
この身に改めて実感することになる
「美依…寝ないの?」
美依を散々堪能して、一眠りした後。
まだ夜の明けない中、美依のために台所に行って湯呑みに水を汲み、戻ってくると…
美依は縁側に座り、空を見上げていた。
俺に気がつくと、こちらに振り向き、ふにゃりと相変わらずの笑顔を浮かべ…
俺が隣に座り込むと、美依はまたさっきのように空を見上げて、少し弾んだような声で話し出した。
「すごい星が綺麗なの。天の川がよく見えるし…考えてみれば、今日は七夕だったんだよね」
「そうか…七夕」
考えてみれば、城下にある市がやたら活気があったのを思い出す。
去年は確か、美依と七夕飾りを作ったな。
今年はお互いに忙しく、祝う暇もなかったけれど…
そんな事を思い、俺も空を見上げる。
濃紺の夜空には、無数の星が煌々と瞬いていて。
乳白色をした淡い光が帯を為して、空を横断していた。
(夜なのにすごい明るいな)
行燈も付いていないのに、座る俺と美依の後ろには、黒々と濃い影が出来ている。
星に目を奪われるように、俺が空を見つめていると…
隣にいる美依が、空に向かって祈るように手を合わせながら、ぽつりと呟いた。