〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第83章 琥珀に滲んだ秘密の想い《後編》❀明智光秀❀
「綺麗です、美依様!白無垢お似合いですよ」
「馬子にも衣装…ってよく言ったよね」
「こーら家康、今日くらいは素直に褒めてやれ」
支度が終わり、部屋で待機する私の元に訪れた、三成君と家康と秀吉さん。
次々にと言葉を交わす様子を見ながら、私はくすっと微笑んだ。
白無垢なんて、恥ずかしいな。
そうは思っても、待ちに待った祝言だから。
今日一日は胸を張って笑顔で居よう。
そう思って、私は三人に笑顔を向ける。
(確か、政宗が光秀さんを呼びに行っていて、信長様は他で何か準備があるんだよね?)
光秀さんが一回私の様子を見に来てくれると言っていた。
光秀さんも正装なんだよね…?
どんなにカッコイイんだろ、なんて反応しよう。
そんな事を考えだしたら、急に緊張が走って。
思わす手元をきゅっと握り締めると…
目の前の襖が開いて、政宗が姿を現した。
「美依、花婿を連れてきたぞ?」
「政宗……」
「このまま花嫁をかっさらうのも悪くないな」
「馬鹿な事を言っていないで、さっさとそこを退け、政宗」
政宗の背中から、呆れたような声がする。
政宗が『はいはい』と言って、また襖の向こうに消えると…
入れ替わって、私が待ち焦がれていた人物が姿を見せた。
「────美依」
(うわぁっ………)
白い羽織と袴姿の光秀さん。
綺麗に整えられた白銀の髪も、その合間から覗く、琥珀の瞳も…
光秀さんという存在すべてがカッコ良く見えて、なんにも言葉が出ない。
私が思わず絶句していると…
光秀さんはふっと笑い、座る私に近づいて腰を落とした。
「どうした、黙り込んで」
「い、いえっ…なんでも……」
「綺麗だよ、美依。日ノ本で一番綺麗な花嫁だ」
「……っ」
さらっと直球に褒められて、ますます言葉を失う。
こーゆーとこ、本当にずるいよ。
押し黙る私に、光秀さんはくすくす笑って…
あれ、こんなに幸せそうに笑う人だっけ。
そう思ってみれば、何故か涙が溢れそうになった。
やっと、幸せに笑える日が来たんだ。
そんな日を、ずっと待っていたよ、光秀さん。
今日、私達を阻むものは何も無い。
ようやく一本の道を歩ける時が来たのだから。