〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第83章 琥珀に滲んだ秘密の想い《後編》❀明智光秀❀
────秘密の想いに、行き先を
『光秀さん、お願いを託されてくれませんかね』
実はな、美依。
お前のお母上から、内緒で預かったものがある。
それはお父上から婚儀の時に貰ったと言う…
大切な大切な結婚指輪だ。
そこに挟まっている宝石が、
俺の目の色に、よく似ているそうだぞ?
『あの子の結婚が決まったら、
渡してあげようと思っていたの。
あの子のお父さんは、私を愛してくれた。
ただ…とても不器用な人だったんだよ。
私を守ると贈ってくれた、この指輪が、
きっと、今度はあの子を守ってくれる。
どうか、あの子の手に──……』
不思議な事に、その指輪は一緒に時を駆けた。
お前の大事なお母上は…
いつも、お前を思ってくれている。
その思いを、然と受け取って、
お前を、幸福で満たすと約束した。
「綺麗だよ、みぃ。日ノ本で一番綺麗な花嫁だ」
「……っ」
「……本当に、眩しいくらいに」
「ありが、とう、ございます……」
「お前のお母上に言った言葉は……
全て偽りのない、俺の想いだ。
お前が俺を照らしてくれるから、
俺は光の下を歩いて行ける。
────お前を愛しているよ。
これから二人で…幸せになるんだ」
奇異な運命に感謝して。
純白を纏う、愛しい女と共に。
新しい一歩を踏み出す、今日。
懐に仕舞った、琥珀の思い。
お前は本当に愛されているんだぞ?
それを指にはめる時…
どんな表情をするか、楽しみだ。
道標は、お前と言う光。
変わらずに、俺を照らしてくれ。
握り締めた手は、決して離さない。
燃ゆる熱情は、紅(くれない)
その紅(あか)で、真っ赤に染まれ
五百年の時を駆けた愛しい人よ
結び合えた奇跡に、馳せる未来を描きながら。
《琥珀に滲んだ秘密の想い〖後編〗》
終
✩.*˚すぺしゃるさんくす
綾女様