〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第83章 琥珀に滲んだ秘密の想い《後編》❀明智光秀❀
────もっと、貴方を感じたい
意地悪な貴方は心の底が見えなくて
私ばかり、貴方を好きなのではないかと
今になっても、まだ不安になったりする
でも、もう大丈夫
貴方の言葉や注がれる熱は
優しくも激しく私を焦がすから
火傷になって、この身に実感するの
愛情の大きさを、想いの深さを
「ぁんっ…ぁあっ、もっとくださ…!」
「はぁっ、美依っ…美依っ…!」
「愛、してる、光秀、さんっ……!」
「俺も、愛しているよ、美依っ…!」
私達は時も忘れて、抱き合って。
熱くなったお互いの肌を重ね合って。
いつまでも、いつまでも。
離れ難く、狂おしい程に求め合った。
最初で最後の、この時代での蜜な時間。
ずっと一緒に居ましょうね。
そう約束して落ちた眠りは心地よく…
嵐の近づく気配なんて、ちっとも気づかずにいたんだ。
*****
その後の事は、実際にはどうなったのかは解らない。
抱かれて眠りに落ちて…
次に目を覚ました時には、すでに光秀さんの御殿の、褥の中だった。
嵐が来たのかも記憶にはないけれど、どうやら私達は無事に乱世へと戻ることは出来たらしい。
でも何故か、脱いだはずの光秀さんの着物や、私の着物まできちんとタイムスリップしてきたようで。
光秀さんが言うには、
『俺が現代に行ったと言う証拠を残さないように、何かしらの力が働いたのかもしれないな』と。
まるで、私達のタイムスリップがなかったかのように、全てがうまく働いたようだった。
現に、目覚めた時は祝言当日だったのだから。
『望み、叶えてあげましょう』
あれは、もしかしたら──……
光秀さんが抱いていた想いが、神様の元に届いたのかもしれない。
私の両親に会いに行きたいと。
そんな優しい優しい、秘密の願いが…
神様が聞き入れてくれたのかもしれませんね?
そう言ったら、光秀さんは苦笑しながら、私を優しく抱き締めた。
今日は晴天、麗らかな日。
空の蒼さが瞳に眩しい、特別な日。
そう──……
幾多の苦難を乗り越えて、
ようやく結ばれる、私達の第一歩。