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〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀

第83章 琥珀に滲んだ秘密の想い《後編》❀明智光秀❀






「……解りました、連絡取ってみますね」




私は零れそうになる涙をぐっと堪え、昨夜充電しておいた携帯をバッグから取ると、お母さんに電話をかけた。

その間、光秀さんはずっと手を握っていてくれて。

骨張った手から流れ込む温もりに、また泣きそうになってしまったのは、光秀さんにはバレてしまったかな。


















それから、電車に乗って、一時間半。
賑わう中心街から、郊外へ向かう。

その間に、私は両親のことを光秀さんに話した。



『私、お父さんはいないんです。小さい頃に離縁してしまったので…お母さんがずっと一人で育ててくれました。小さな旅館をやっているんです、実家は。お母さんが一人で忙しなくしてたのが、ずっと記憶にあって』



すると、電車の窓から外を見つめながら…
光秀さんは、私にこう言った。



『お前に似た、働き者のお母上なのだな。きっとお節介で、泣き虫で…そんな所も似ているに違いない』



言葉は少し意地悪だったけど、声は優しくて。
会ったら…お母さんに何を言うのかな。
そんな不安もあったけど、この人なら大丈夫。
何故だか漠然と、そう思った。

















「美依、おかえり!久しぶりじゃないの、全然連絡も寄越さないで心配だったんだから」




実家に着いてみると、お母さんは外に出て待っていてくれた。

お母さんには大学を出て一人暮らしを始めてから、一度も会っていない。

その後、タイムスリップしてしまったから…
こっちの時間の流れは解らないけれど、感覚的にはもう三年会っていない。

小柄で表情がくるくる変わる、お母さん。
久しぶりに会ったら、少しシワが増えて、また小さくなった気がするな。

そんな事を思っていると…
私の一歩後ろに立っている光秀さんに、お母さんの視線が注がれた。




「電話で言ってた紹介したい人って、この方?」

「うん…光秀さんって言うの」

「全然連絡寄越さないと思ったら、いつの間にかこんな素敵な彼氏が出来てたのねー!まぁ、中に入りなさい、お茶でもしながらゆっくり話しましょ」




そう言って、お母さんが背を向ける。
その小さな背中を見ていたら、これから話す事がすごく親不孝な気がして…

私は堪らずお母さんに駆け寄り、その小さな背中に抱きついた。






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