〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第80章 貴方と添い寝のその先に《前編》❀伊達政宗❀
「……うん、いい子だな」
「……っ」
(ズルイよ、政宗……)
そうやって甘やかされたら、私はもっと貴方に溺れていってしまう。
そして、与えられる熱が心地よくて…
もっともっとと、欲張りな私になってしまう。
たくさん貴方に愛されたい。
たくさん貴方を感じたい。
身体が熱くて、疼いて…
────欲しいよ、政宗
「…そんな目で見るな、寝かせてやれなくなる」
思わずじっと政宗を見つめると、政宗は苦笑しながら額をくっつけてきた。
そんな目って…
そんなに解りやすいかな、私。
「どんな目、してるの…?」
「俺が欲しいって目、してる」
「…っそんなこと、ないよ」
反射的にそう答えるも、どうやら心の中は政宗にはお見通しのようだ。
政宗は私に覆いかぶさるよう体勢に変えると、手首を掴み、私の顔の横で縫い付けた。
そして、さっきみたいな熱っぽい瞳で…
私を見下ろし、口の端を持ち上げた。
「本当はもっとしてほしいくせに」
「…っ」
「ほら…言ってみろ。どうしてほしいんだ?」
「あっ…」
耳元で囁かれ、かぷりと耳たぶを噛まれて、ぞくっと背中が震える。
本当に意地悪だよ、政宗。
こんな風にされたら…素直になるしかないのに。
私は視界がだんだん滲むのを堪え…
政宗の蒼い目を真っ直ぐに見つめながら、震える声で答えた。
「もっと…触れてほしい」
すると政宗はふっとくぐもった息を吐き…
少しからかうような口調で私に言う。
「もう眠れなくなってもいいって事だな?」
「…っ」
「まったく…そんな誘い方、どこで覚えた」
「さ、誘ってなんかっ…それに、政宗のせいだよ、私がこうなるのはっ…」
つい反抗的に言葉を返すと、政宗はさも可笑しそうに笑った。
なんだろう、政宗には敵わない。
そんな事は、はなから解っていたけど、でも。
この余裕を崩さない態度は、カッコイイと思う半面で、ちょっと悔しいなぁなんて思ってしまう。