〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第80章 貴方と添い寝のその先に《前編》❀伊達政宗❀
「……どうした」
「えっ……」
「まだ夜明けまで時間がある。もう少し、寝ててもいいだろ?」
「う、うん……」
寝起き特有の掠れた声が、やたら色っぽい。
眠そうに瞬きをするのも…
長いまつ毛が微かに濡れていて、その艶っぽい視線に、ドキドキと心臓がうるさくなった。
(あ、でも政宗はまた寝ちゃうのか…)
思わず小さくため息をつくと…
それを聞いた政宗は、ふっと笑い、私の腰に腕を回して顔を覗き込んだ。
「それとも…あんなに愛してやったのに、まだ愛し足りなかったか?」
「なっ…!」
その言葉を聞いて、一気に赤くなる。
いつの間にか意識がハッキリした様子の政宗は、ニヤニヤと意地悪く笑いながら私を見ていて。
私は恥ずかしくなって、政宗の腕を振り払い、くるりと反対に寝転がって背中を向けた。
(確かにちょっと寂しいと思ったけどっ…)
愛し足りなかったか、なんて…
何故あんなに求めておいて、そんなことを言うのだろう。
『美依…んっ、もっと…』
政宗の、あの濡れた声を思い出す。
その手で、唇で、声で私を甘く攻めて…
私が乱れるほどに、それは増していく。
気持ち良いようにしか触れてこない指も。
私の弱い所は知り尽くしていて、私をあっという間に頂点に導いてしまう。
そして、政宗自身も…
私で感じて熱く吐息を漏らし、目は熱を孕んで、その姿はこの上なく艶っぽくて。
そんな風に『男』になりながら、それこそ眠れなくなるほど情熱的に求めてくるんだから…
(ああもう、思い出しちゃダメっ…!)
考えれば考えるほど、身体がそれを思い出し火照ってきてしまう。
でも政宗はそんな私の様子を見透かしてか、さらに意地悪く艶を帯びた声で背中の後ろから言ってきた。
「こーら、恥ずかしがるな。もっと恥ずかしい事、しただろ?」
「い、言わないでっ……」
「ったく、こっち向け」
すると、政宗は私の肩を掴み、強引に振り向かせる。
今度は後ろを向けないように、がっちり腕でホールドされてしまい…
動けない私の顔を再度覗き込みながら、優しく笑って額に唇を押し当てた。