〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第78章 桃色媚薬-戯れと蜜の恋-❀明智光秀❀
「美依……?」
「光秀さん、起きましたか?」
「……何故お前に膝枕をされている」
「光秀さんが膝を貸せって言ったんでしょう?」
(え……?)
俺を見下ろす美依。
俺は美依の柔らかな膝に頭を乗せながら…
鈍い頭をなんとか捻って、思考を回転させる。
さっき、意識が落ちる前。
美依と少し会話したような気がしたが…
あれは、本人だったのか?
俺の、想像の中の美依ではなかったのか。
無言で見上げれば、着崩すことなく綺麗に着物を着た美依が困ったように視線を向けてきて。
その桜色の唇から、また言いにくそうに言葉を紡いできた。
「光秀さん、この状態を説明してください」
「この状態?」
「ほら、そ、それとか…これとかっ……!」
美依が真っ赤になりながら、畳のあちこちを指差す。
身体を起こして指差す先をみれば、俺が白濁を吐き出した跡がたくさん残って染みになっていた。
そう言えば、袴も乱れたままだな。
俺は改めて自分の格好にも苦笑しながら、少し冗談めいた口調で美依に答えた。
「大人の事情だ、美依」
「はぁ?!」
「俺の種だ」
「そ、そんなの見れば解ります!」
「ほう、そうなのか?」
「子ども扱いしないでください!なんか光秀さん、身体は熱かったし、汗かいてたし、具合が悪いんじゃないかと心配したのに!」
(……心配か)
まさか媚薬に冒され、お前を想像して自慰していた…なんて。
そんな事を言えば、一体どんな顔をするか。
それはすなわち、気持ちを伝えると同じに等しい。
それを言ってしまえば…
楽にはなるが、美依を影に引きずり込むことにはならないだろうか?
「こうなった理由、聞きたいか?」
「はい」
「どうしてもか」
「どうしてもですっ!」
「……そうか」
美依の顔を覗き込めば、真っ直ぐに視線を向けてくる。
お前には素直でありたい。
真っ直ぐに、見つめてやりたい。
それは俺の自己満足だけれど。
もし、もしの可能性に賭けるなら。
俺の抱いた『夢』は現実になるのか?
それはすなわち──……
現実のお前をこの腕に抱くこと。