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異世界人の平凡な日常【涼宮ハルヒの憂鬱】

第5章 ◇誰も知らない、世界が壊れた日◇




「実は先ほどまで僕は、涼宮さんがつくりだした閉鎖空間にいました。どうやら今回、涼宮さんは世界をつくり変えようとするほどの絶望感に襲われたらしく、無意識の内にあの空間へとキョンくんを連れていってしまったようなんです。このまま彼女が望めば、遅かれ早かれ確実に、現実世界と入れ替わってしまうでしょう」

「そんなっ…それじゃあ、キョンちゃんは、私は?他の人たちは、どうなるの!?」

「正直、わかりかねます。ただ可能性として、涼宮さんとキョンくん以外の存在は全て消えるかもしれない…という説が一番有力です。先ほど、僕はそれを、キョンくんにだけ話してきました」

「…涼宮さんには、話してないんだね」

「はい」

「どうしてっ?こんなことになったのに…まだ変化を恐れて、本人にはふれないようにするの?紙一重な状況の今くらい、行動してもいいじゃない!」

「………すみません。はっきりいって、僕にはこの状況に対しての力は、ほとんどないに等しいのです。いつもと違い、僕も他の仲間たちも、一人の力ではあの空間に入ることすら出来ませんでした。涼宮さんの影響力の強いあの世界で…不安定な存在の僕には、涼宮ハルヒの鍵となるであろう彼に、大まかな状況を伝えることで精一杯でした」

「…そんな……」

「超能力者だなんだと言いながら、君の助けになるどころか今は…隣に駆けつけることさえできない。僕は、無力です…本当に……すみません」

「古泉くん……っ…ごめん。謝らないで、ごめんなさい……私、酷いこと、言った」

「言われて当然のことです」

「そんなことない、古泉くんはちゃんと頑張ってる。何も出来ないのは、私の方だよ。なのに、文句ばっかり……非難ばっかり、言って…………んて――…」


…―――なんて、汚いんだ。ズルイんだ。


自分だって、できないくせに。
いつだって傍観者で、人に任せっぱなしで、偉そうに。
卑怯な私とは違って、古泉くんは、彼は、彼なりの考えをもって頑張っている。
今だって、別にわざわざ私に声をかける必要なんてなかっただろうに。
こうして詳しく教えて、謝ってくれている。そんなことしなくていい筈なのに。

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