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異世界人の平凡な日常【涼宮ハルヒの憂鬱】

第5章 ◇誰も知らない、世界が壊れた日◇




「キョン、ちゃん……キョンちゃん…キョンちゃんっ、キョンちゃんっ!!」


どうか気づいて、ここにいるの私、あなたたちを見ているの、お願い気づいて。
キョンちゃん、こっちを見て、私を見て、声に気づいて、ここにいるの。
お願い、キョンちゃん、涼宮さんに触れないでよ、手を繋いだりしないでよ。
嫌だ、嫌なの、ヤダヤダヤダヤダ、嫌だよキョンちゃん!!


こちらの声が届かないだろうことを、どこかでわかっていた。
それでも、爆発した感情は理性を飲み込んで留まることを知らず。
私は狂った人みたいに、映し出されたキョンちゃんに向かって。
ひたすら、同じことを繰り返し叫び続ける。

キョンちゃんと涼宮さんの背後で、古泉くんに見せてもらった、あの神人とかいう化け物みたいなものが暴れているのにも構わず。
もちろん、欠片ぐらいの心配も浮かびはしたけれど、それ以上に。


馬鹿みたいに、
醜悪に、
自分勝手に、

嫉妬していたのだ。


「…キョン、ちゃん……」


グラウンドに出たキョンちゃんと涼宮さんが、真剣に言い合っているような姿になったときには、私の喉は嗄れかけていて。
それでもなお、キョンちゃんに呼びかけようと口を開いたとき。
私を呼ぶ声がどこからともなく聞こえ、白い空間に響き渡った。

…この声は…。


「………古泉、くん?」

「…よかった、ススキさん。僕の声、聞こえていますね?」

「うん……でも、どうして?どこにいるの?」


きょろきょろと辺りを見回しても、やはり白い空間には自分以外の姿など見当たらない。


「ススキさん。あなたが今いるところは…これは推測にすぎませんが…閉鎖空間と現実世界の狭間だと思われます。話が少々難しく、とても長くなるので詳しいことは説明を省きますが。結論から言わせてもらえば、僕はそこにはいません。いえ、入れないと言った方が正しいでしょう。おそらくその空間に存在できるのは、この世界にとって異質な存在である、あなただけです」

「……え…じゃあ、古泉くんは…」


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