第4章 ◆ナンパと勧誘、お断り◆
「わかりました。では、キョンくん。君も来てください」
「は!?おいちょっと待て、どうしてそうなるんだ」
「仕方ないじゃないですか。僕だって、なにも好き好んで君を誘ったわけではありませんよ。ススキさんは2人でなければ行くというし、ここ数日見る限りで彼女がいちばん頼りにしているのは、面白くないことにどうやら君のようですからね」
「…そう、か?」
「そうなんですよ」
「そうなのか?ススキ」
「え?……うーん、まぁ、そう…かもね」
「そうか」
「うん」
いつの間にそんな観察をされていたのやら……なかなかやるな、古泉一樹!…じゃなくて。そういうことを本人目の前にして言わないでもらいたい。
さっきから恥ずかしさで体温がぐんぐん上昇していっているんだよ。マジやめてよ、ねえ。おいこら。
そしてキョンちゃん。
私に直接、確認するのはやめてください。
いったいなんの罰ゲームですか?他意はないとわかっていても、この恥ずかしさは拷問に等しいってば。
「それでは今度の日曜、いつもの駅前で午前10時頃に待ち合わせ…ということでかまいませんか?」
「ん。わかった……キョンちゃんは、大丈夫?」
「ああ、こうなったら付き合うさ」
こうしておかしな組み合わせの3人で、日曜日に出かけることになった。
周囲の人間から、いったいどんな関係なのかと邪推されること請け合いだ。
午前10時なんて時間から早々と出かけて、どんな風に過ごすつもりなのやら…。
せめて、美味しいケーキだけでも堪能することにしよう。
(古泉くんを振り切ってキョンちゃんと2人で帰りながら、巻き込んでしまったことを謝った)
(気にするな、と軽く言ってしまえるキョンちゃんは絶対にイイ男だと思う)
(ただでさえ美少女が多い中、これ以上ライバルが増えないようにと切に願った)
(今日はキョンちゃんと手は繋げず。残念…)