第5章 ◇誰も知らない、世界が壊れた日◇
酷い悪夢だ。
私はパジャマ姿のまま、なんとも視界のはっきりしない乳白色の世界にいた。
不思議と恐怖を感じることはなく、方向もわからないまま足を進める。
しだいに、薄ぼんやりとした景色が視界に映りこんできて。
あぁ、行かないと。
そう思った。
疑問も浮かばず、ただそれが当たり前のことだと理解していた。
歩いて、歩いて、目の前に現れたのは―――自分の通っている北高校の校舎。
ふらふらと誘われるように、校門から敷地内へ入ろうとしたとき。
バチィッ!!
「っあ!!」
高圧電流にでも触れたかのような衝撃が全身に走り、弾き飛ばされた。
ハッと目の覚めたような感覚になり、地面に転がった体を手をついて起き上がらせる。
何が起こったのかよく理解できなくて、再び校門の前まで歩くと。
邪魔をするものなど何もないはずの空間が、奇妙にグニャリと歪んだ。