第4章 ハピファミ!4
家に帰る途中、休憩と称してとある喫茶店へ寄り道したワタシたち。
ガラス窓に映った姿は双子の姉妹ではなく、双子の兄妹に見えた。
すっかり軽くなったワタシの頭は、行きよりもずっとずっと服装と合っていた。
とっても短くて、フワフワ逆立つのに可愛らしささえ感じる髪型は、カッコイイ装いをより引き立てているように思う。
はじめこそ天地がひっくりかえらんばかりに驚いた母親も、かわいい系のまゆらちゃんとカッコイイ系のワタシ、そんな二人の並んでいる姿をすっかり気に入ってくれたようで、にこにこ笑顔で好きなデザートを選ばせてくれた。
まゆらちゃんは嬉しそうにきゃっきゃと笑っているが、おそらく家に帰ってからはじまるであろう着せ替えと撮影会のことを思い浮かべてしまったワタシは、吐き出しそうになった溜め息を、まゆらちゃんと半分コにしたデザートと一緒に飲み込んだ。
とにもかくにも、これで新たな違いの出来上がり。
まゆらちゃんとワタシは確実に双子だとわかる容姿をしていながら、二度と間違えられることはないだろう、きっと。
ただ、ワタシが男の子と思われることが多くなってしまうのは必須であるが。
まぁ犠牲とも呼べぬほど些細なことなので、ひとまず置いておく。
深く考えるのは、実際なんらかの問題が起きてからでも別に遅くはない。
ワタシはまゆらちゃんの笑っている顔が見られるなら、それでいいのだ。
「わたるちゃん、おやすみなさい」
「おやすみなさい、まゆらちゃん」
隣で眠る愛しい少女が笑顔でいてくれるなら、姿がなんだろうとかまわない。
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この時点で、すでに妹溺愛の域に達しました。末恐ろしいシスコン。
容姿がそっくりな美形の双子、しかもパッと見は男女とか、宝だと思います。